ロッツォ國友

Sin Clockのロッツォ國友のレビュー・感想・評価

Sin Clock(2023年製作の映画)
2.0
偶然の奇跡は、やっぱりただの偶然でしたね!!!!!!!!!


ポスター見てめっっっちゃくちゃときめいたんですよ!!!!一目惚れしましたよ!!!!
何も調べずに前売り券買いました。

この雰囲気、絶対名作だろって思いましたよ。
最近のトレンドに反して90分台と短めなのもまた期待度大でした!!!!



いやぁ………うーーーむ…………



いきなり文句から入りますが…この映画は、
「すごくイイ部分」と、
「全然良くない部分」とが
溶け合わずにブツ切りに並べられているような感じになっており、トータルで見ると「全然良くない部分」が多くて消化不良を起こす感じの、そんな作品でございました。

そもそも一つの作品内で要素がブツ切りになってるのも、何かなぁ…と思ってしまうけど、それ自体は抽象的過ぎるので書くのは控えよう。
具体的な要素ごとに、思ったことを書き残します。



○配役
全体としてはまぁまぁ……だったけどJin Dogg様はさいこう!!!!!!!!
かっこいい!!!!!!!!
ハスラー時代のガチの経験もちょっと入ってるという、若干の反則要素はあるけどそれはそれとしてもハマり役過ぎるだろ…
ウロウロしてるだけでめちゃくちゃに怖い。
主人公Jin Dogg様だったでしょ。
彼は3億点だった。演技もマジでイイ。
ラッパーとしてもレジェンドだってのに、何でもできるなこの人……最高でした。


窪塚洋介さんは………彼自身は超カッコいい男なのもいい役者なのも心の底から同意するところだけど、ハマってないだろ。

眼光が鋭過ぎて反社出身にしか見えない。サラリーマンが完全に落ちこぼれてついに悪事に手を染め…という感じが全然出てない。
どっちかっていうと元半グレが昔のクサレ縁を断ち切れずにデカいヤマに手を出したくらいにしか見えないし、実際今回の案件をヤると決めてからの方が余程イキイキしてるように見える。
今回は役者本人のカッコよさはむしろ邪魔でしょ。後半で無駄に発揮される器用さとあの佇まいで見る限り悪事に手を染めないと生きていけないように見えない。
ただの半グレ。これではドキドキできない。


葵揚さん(高良健吾が出てるのかと思ったら違った)はなかなか良かった………けど、ファッションがあかんね。B-BOYの格好させたらダサいポン引きにしか見えないじゃん。
せっかくエグい目つきのサイコサイコロ自衛隊演技してるんだし、普通の格好させてる方が絶対良かった。
スーツの時は良かったんじゃないすか。知らんけど。

チョコプラ長田さんは相変わらず器用で良いですね…あまりにイイ人なのでところどころ無理してる感じがなくも無いけど、お上手ですよね。良かった。

般若様は…どこに居たのか全然分からなかった。カメオ枠ってことかな。
デッドプール2のマット・デイモンより目立ってなかった。雰囲気あるしもうちょっとなんか無かったのかしら。彼の顔イイのに。

橋本マナミは橋本マナミって感じの役だったね。ただの女体役で、何かの個性とかそういうのは一切ない。
政治家が彼女を性的な遊び道具にしか思ってない感じ出してたけど、本作も彼女を性的なアイキャッチ程度にしか扱ってなかったですね。
まぁ一貫性あっていいんじゃないですか。
言うことは特に無いですね。
はい。



○セリフ
ふつう……ちょっとクサいかな、くらい。
何でもセリフで説明しちゃう系の邦画ほどは酷くないのでトクベツ悪いとは思わないけど、良い点も皆無。

「ちゃんとした家で褒められて育ったすっごく素直でマジメな高校生がおうちで真剣に考えたセリフ」って感じで、ある意味真っ直ぐでいいんだけどヒネリが何もない。
せっかく暗い世界観なのに、そういう深みが全然感じられない。

悪くはないけど、何も良くない。
背伸び中学生が深夜にこっそり観ても理解できるようになってる感じがする。
…てことはまぁ、良いってことなのか?w


Jin Dogg様が「なんなんだよあいつらー😡」って叫んだのはさすがにダサ過ぎてちょっと笑ってしまった。
あの眼光で黙ってキレてるだけが一番怖いんだから、セリフは余計でしょう。
役者の味を殺すなよ。

あと、遊園地のシーンで演技が超絶下手クソな少年と遊ぶしょうもないくだりがあるんだけど、ガチャガチャの時は一人称「パパ」なのに観覧車の時は「お父さん」になってなかった?気のせい?
誰か添削してないのか?
父親なのに生き様がブレてるっていうメタファー?



○展開
ストーリーそのものはめちゃくちゃいいと思う。
この上映時間に対してこの情報量・登場人物数・ツイスト回数は最適だと思う。凄くちょうどいい。

これより短いと描ききれないと思うし、120分続くと何となく底が見えちゃって冷めると思うので、本当にいい内容。
何よりダークを雰囲気を楽しむ作品だと思うので、リアリティラインはこれくらいでも全然気にならない。


が、主人公達の動機については、あまりにも弱い。
または、説明が全く出来ていない。
今の自分達がドン底だってのは分かるけど、一度は消去法的に安定路線を選んだようなカス3人がヤるにはあまりにも悪事のスケールがデカ過ぎる。

盗撮ヒマワリ黄金律陰キャの彼は今回のブツが死ぬほど好きっていうのがあるからいいとして、窪塚洋介がこれに加わる動機が何もない。
何かを決意したり覚悟したりするくだりがあるのかなと思うと暗転して、もう仲間に加わってる。
そこが一番観たいのに。

半グレにしか見えないから逆に説得力あるけど、役柄からすると全然意味分かんないよね。
それともチンピラ出身だったっていうキャラ付けがあったのかな?

偶然の奇跡で悪事を決意した…ことにはなってるんだけど、よく分からん。
誕生日が同じだとヤクザと取引する決心が付くもんなの?
形だけでいいからカタギにも分かる理屈を用意して欲しかったな。
短いのでそれほど深くは気にならなかったけど、よく分からんって感触は残るよね。
うーむ。



○演出
最低の一言。
全然良くない。台無しだ。
何よりも気になるのは「暗転」の多用。何がしたいのか全然わからん。
ほんとうに、全然わからん。
いちいち音も消して画面真っ暗にして、っていう暗転描写がひたすら連発されるんだけど、最初から最後までマジで何の意味も意図も意義も感じられなかった。


むちゃくちゃな暴力が出まくるわけでもないし、セリフに毒が効いてるわけでもないんだから、あとはもう役者同士のグルーブ感を含めた雰囲気が全てなわけでしょ。
で、せっかくBGMもワンパターンではあるけども暗ーーーいコワーーい感じを出してるしカメラワークもいい感じなのにさ、画面をいちいち暗転させるもんだから毎回雰囲気壊れちゃってるわけよ。
何の意味があるのこれ?全然意味分かんないだけど。


何にも調べずに書いてるので1000%の邪推で書くけどさ、製作者はもしかして、ギャングスタラップのMVとかしか作ったことなくて、長編が初なんじゃないかね?
雰囲気はめちゃくちゃ出てるのにブツ切りにしちゃうのは、長編をやる自信がないから、短編的に、若しくは断片的にしか映像を積み重ねられないんじゃないか?(韻踏んでみた)

暗転が悪いとは言わない。多用するのも意味があれば大歓迎。
だと思うけど、本作では暗転は本当に邪魔な要素でしかなかったと思う。
或いは俺が何か見逃してたら誰かご指摘いただきたい。
俺は全く分からんかった。
暗転部分はカットでいい。いらない。



○その他
ずっと支離滅裂な文句と難癖しか書いてないので、ついでにエンドロールについて2つ。


1点目。「インターン」って書いてあるスタッフが何人か居ましたね。どういう意味?
職業体験中だから出来がワルくても勘弁してくださいってことなの?
初心者マークみたいなこと?

実際にシアターで上映される、ユーザーからお金を取るプロダクトなんだからインターンも学生も大人も関係ないんじゃないの?
エンドロールに「インターン」って書くって、よくあることなの?
何かの保険みたいで気に入らなかった。本人達も了承してるのかも気になる。

そもそもさ、映画って何百人も何千人も関わるものでしょ。関係者全員がガチガチ即戦力のスーパープロって例の方が少ないでしょ。
立場も経験も違う中で、なんとかベストを尽くして一つの作品に仕上げるんでしょ。
そのうち数人がインターンだったら何なの?
なんか納得いかない。

…分かってます。むちゃくちゃな難癖です。


2点目。監督名のところでエンドロール止めてる……………
カッコよくないよ………
或いは「全部俺の責任です」って矢面に立つ意味合いもあるだろうか。
じゃあカッコいい。




…以上でござんす。
ヤク中みたいな難癖と文句が大半を占めてしまったんだけど、雰囲気はめちゃくちゃ楽しめました。
暗転にいちいち邪魔されて最低最悪だったけど、それでも雰囲気を作り出せてるんだからほんとはめちゃくちゃ技術があるんじゃないかと思ってる。
もしまた何か作るなら是非とも観たいです。

本作については1.0点にしたいんですけど、Jin Dogg様があまりに良かったので2倍になりまして、2.0点と致します。

俺の期待値が高過ぎて事故っちゃった。
思わず一時不停止しちゃった感じがある。俺が悪いんやと思う。
長田さん、罰金払います。
すいませんでした。
ロッツォ國友

ロッツォ國友