GyG

ファミリアのGyGのレビュー・感想・評価

ファミリア(2023年製作の映画)
4.0


この作品について、主人公が聖人・善人過ぎるのでは?との映画評が、ある新聞に載っていました。

実際に見ると、主人公誠司の優しげな容貌や感情を大仰に表さない演技は善人ですが、何でも許す好々爺ではなく厳しい堅実を切り開いていくハードボイルドな人間で描かれており、また指をへし折る人を善人とは呼ばない、こんなふうに思いました。

映像的に印象深かったのは、冒頭のシーン。
白い明るい光がスクリーン中上に差し込み、やがてそれが暗い部分をV字に裂き終わる頃、ああ切り通しの風景だったのかと分かるところです。
もう一つは、ラストシーンの窯のフタを開けようとするところ。

冒頭の切り通しは、V字に裂かれた暗い道を進んでいけば、やがて明るい場所にたどり着けることの寓意。
窯の場面は「ファミリア」の再生あるいは転生が成されるかも知れないとの寓意。
さらに冒頭と結末はつながっている?
そんな想像ができる面白い映画でした。

メモ
・本作は、移民難民だけではなく、もっと分断された人・社会・文化を対象にしているように思いました。

・若者が半グレによって水に沈められるシーン、そこは意識を失っても生理的には踠き苦しむはずですが、映画はそうでない。
また団地屋上シーンでの唐突な毛布。
これらはポリコレによる残虐や性に関する制限なのでしょうか。今後の動向が気になります。
GyG

GyG