回想シーンでご飯3杯いける

ファルコン&ウィンター・ソルジャーの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

3.8
MCUお得意の仲間割れかよと、前半はやや呆れ気味に観ていたのだが、ドラマ形式という事もあって、全体としてはファルコンとウィンター・ソルジャーの関係をじっくりと描く、骨太の作品だった。

そもそもこの2人は、スティーブ(キャプテン・アメリカ)と親交が深ったものの、その時期が数十年単位でずれている事から、直接的な交流は今まで殆ど描かれていなかった。スティーブがいなくなった後、新たに地球で起こった問題に対して、2人が協力し合う必要性に迫られ、各々が抱えていた葛藤と向き合わざるを得なくなる。

基本的に生身の格闘が主となる2人なので、アクション・シーンはストイックかつスリリングである。しかし、本作の見どころは、アクションではなく、2人が距離を縮めていく行くドラマパートにこそあるのだと感じる。ファルコンにスポットが当たった事で、MCU作品でもいよいよ人種差別に関する描写が登場する。同じマーベルの「X-MEN」シリーズでは比喩的な表現が特徴であったが、こちらはかなりストレートで驚いた。

それにしても、このシリアスな作風の中でも「指パッチン」と訳してしまう日本版スタッフのセンスには疑問を感じる。英語圏では「snap」「blip」「The Decimation」等、使われる場面において表現を変えているようなので、日本版でも見習ってほしい。

それから、MCUの常とは言え、シリーズ初心者に不親切なのも気に入らない。例えば本作であれば「インフィニティ・ウォー」と「エンドゲーム」に関して5行程度で良いから冒頭にテロップを入れるだけで、随分間口が広がると思う。そう考えると「スターウォーズ」シリーズのオープニングロールは偉大だったと思う。