回想シーンでご飯3杯いける

季節のない街の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

季節のない街(2023年製作のドラマ)
3.9
分かり易く言えば「あまちゃん」裏ヴァージョン。NHK連続テレビ小説という国民的人気枠をで放映された「あまちゃん」が、宮藤官九郎の最もポップな部分であるとすれば、この「季節のない街」は彼が企画、監督、脚本を担当し、映像作家としてのコアな部分を投入した作品なのだと思う。

震災を「なに」と表現する本作の世界観は、今のタイミングだと阪神タイガーズの「アレ」を思わせるけど、脚本家的には是枝裕和からの影響もありそう。

全ての脇役に見せ場がある構成は「あまちゃん」と同じ。ただし、登場人物の設定がかなり過激なので、観る人を選ぶ側面もある。「あまちゃん」でさえ、震災を感動ポルノとして扱っているという批判があるらしく、その反響を含めた上での、クドカンなりの試行錯誤や思い切りが表れているのだろう。

そう考えると、池松壮亮のポジションは、クドカン本人の投影だと考えるのが妥当だ。最終話にそれを確信できる下りがある。これを配信したのがNetflixではなくDisney+だったというのが意外。