バカリズムが脚本を書いた正月特番のドラマなんだけど、これはもう完全に「運命じゃない人」だよね。クレジットに内田けんじの名前が無いか隅まで探したよ。
元グラビア・アイドルの実業家が住む高級マンションに、家事代行サービスで働く女性が侵入。そこから始まるスリリングなドラマを、密室劇として描いている。
前半でひと通りのストーリーを見せた後で、各登場人物の視点で、同じ時系列を繰り返す構成は、完全に「運命じゃない人」なのである。こっちから見ていた出来事が、向こう側から見ると全然違うように見える。善悪の判断さえ揺らぐ下りは、実に面白かった。
最近の映画レビューでも書いた通り、日本映画が俳優やその所属事務所の知名度に頼った作風に偏っている傾向に落胆していたんだけど、その思いを改めてくれたのは、意外にもテレビ・ドラマ(本作)だったとは! 主演はグローバルに活動する菊地凛子で、所謂日本の芸能界とは距離を置いている人だし、そもそも本作は出演者を6人に絞った舞台劇のようなスタイルなので、全員が顔なじみの俳優であっても特に気にならない。テレビの世界でも、脚本や構成にこだわった映画的な作品を作っている人がいるという事を改めて認識した次第。
早くもNetflixで配信されているので、CM無しで一気に見られるのも良い。