manami

お別れホスピタルのmanamiのレビュー・感想・評価

お別れホスピタル(2024年製作のドラマ)
-
第1話「死ぬってなんだろう」
第2話「愛は残酷」
第3話「サンタさんはいるの?」
最終話「未来のわたし」

主演は岸井ゆきの。共演に松山ケンイチ、小野花梨(髪も肌も超〜リアリティある!)、そして大ベテラン俳優の方々と、実力派ばかりの出演陣。さらに原作は沖田×華、脚本は安達奈緒子という『透明なゆりかご』コンビで、視聴前からこれは間違いないだろうという期待が膨らむ。
こちらも病院が舞台で、重度の医療ケアが必要な患者が入院する療養病棟での日々を、看護師・辺見歩(岸井ゆきの)からの目線で描く。この病院の目の前に海が広がっていることも重要な役目を担っていて、登場人物それぞれの、そのときどきの感情を反射させる。海は生命の源であり、全てが還っていく先でもあるのだということが思い出される。
2018年、海辺の道路沿い。歩はピザの割引きチラシがきっかけで本庄(古田新太)と出会う。このドラマにはその後も、食べるシーンがよく出てくる。
焼き鳥屋で「誰かと話す」時間を持つ。辛い気持ちを抱えて、屋上で立ったままパンやおにぎりにかじりつく。お気に入りのお菓子が欲しいと大声でアピールする。そのお菓子を同室の患者どうしで分け合う。悲喜交々の食事介助。塩ゲンコツというおせんべい。摂食障害と自傷に苦しむ家族もいる。
「わたし、たいていのことは食べて寝れば大丈夫なんですけど」「でもね、今回のことはたいていのことじゃないから」
患者さんには忍耐強く接することができるのに、家族には感情的になってしまうのが、とてもリアルだなぁ。
それから頼れる先輩ナース・赤根さん(内田慈)も素晴らしい!大戸屋さんと上手に付き合ったりテキパキ働くときと、女手一つで育ててきた一人息子と話すときとの違いを、ものすごく繊細かつ絶妙に表現している。
患者の母、妻、娘、息子など家族の葛藤や、家族どうしの交流なども丁寧に描写されるので、自分自身を様々な立場に置きかえて観ることができる。

「生きてる?」「生きてるよ」
「近しい人だから抜け出せない、かえって傷つけるっていう沼はありますよ」「沼?」「愛、ともいう」
「死ぬときに悔いのないよう生きるため」
「1日でも長く生きていてほしいって、心から言えるあなたが羨ましい」…「これでもういいでしょう?…」
「まずは金がなくなる、そしたら自信がなくなる、そしてまた酒に手を出す」「オレは未来のお前やぞ」

第1話は夜明けから始まり、最終話は夜明けで終わる。
manami

manami