回想シーンでご飯3杯いける

一流シェフのファミリーレストラン シーズン1の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

3.8
学生時代にアルバイトで働いた経験が何度かあるので良く分かるけど、飲食店の厨房はシェフを頂点にしたタテ社会が幅を利かせている店が多く、しかも密室なので、従業員にかかるストレスが非常に大きい。

この「一流シェフの~」はかつて一流レストランのシェフであった主人公が、自殺した兄の後を継いで小さなサンドウィッチ屋を再建する物語。マネジメントを重視してこなかった経緯からスタッフの足並みはバラバラで、厨房内では罵倒が飛び交っている。

シカゴのダウンタウンが舞台なので、客層や店の衛生状態も良いとは言えず、日本の飲食店を舞台にしたドラマに比べると、不潔なシーンも多め。しかし、そうした赤裸々な描写があるからこそ、再生のドラマに熱さが宿るのだ。

長回しを多用する撮影、'90~'00年代オルタナティブロックの効果的な挿入等、映画っぽい構成も魅力。1話30分以内なので、あっという間に観終わってしまう。

スコアには反映させていないが、邦題が酷い。主人公のニックネームである原題の「The Bear」を切り捨てた事で、冒頭の熊のシーンから意味が分からなくなってしまうし、一流シェフが一流シェフであった過去の呪縛から解放される話なのにこのタイトルって、ほんとにもう救いようが無い。