似太郎さんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

山の音(1954年製作の映画)

4.0

【日常の煌めき?】

原作川端康成か…。川端文学にそこまで思い入れは私であるが、まあまあ楽しめる家庭劇の佳作。主演の原節子がまるでフランスの女優みたいで華奢な雰囲気を醸し出している。脚本は『また逢う日
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めし(1951年製作の映画)

4.3

【じれったい夫婦の日常】

慎ましい庶民劇で成瀬巳喜男の真骨頂。上原謙と原節子の夫婦の共依存関係が、じれったくも愛しい日常を美しく彩る。

貧乏臭い戦後の風景なども一見に値する。(笑)

映画評論家の
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闇を横切れ(1959年製作の映画)

4.4

【まるでアメコミ】

共同脚本が菊島隆三なのでタイトな出来栄えの見応えある和製ノワール。増村保造初期の佳作。全編、無音で展開される街の権力者による陰謀を暴く新聞記者を主役に据えた骨太社会派サスペンス。
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清作の妻(1965年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

【自我の絶対化】

本作は私が16歳のとき、ユーロスペースで初めて観た増村保造作品だ。思った以上にB級映画的な雰囲気が強い。主演の若尾文子の怨念に満ちた眼差しが屈強で、鬼気迫るものがある。

驚愕の反
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刺青(1966年製作の映画)

4.4

【時計じかけの若尾文子🍊】

傲慢な性格とも思える若尾文子のファム・ファタル風芸者!🕷
体に刺青を入れることで抑圧する者を蹴散らしていく真の女の自立を描いた増村保造のバイオレントな文芸映画。原作は谷崎
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華岡青洲の妻(1967年製作の映画)

-

増村保造の傑作と謳われている作品らしいが、土地の権力者(伊藤雄之助)に抑圧される女(若尾文子)の踏んだり蹴ったりな様子を一貫して地味〜〜に描いており、新藤兼人のお堅いシナリオが映画全体のテンポを阻害し>>続きを読む

ビッグ・ウェンズデー(1978年製作の映画)

4.3

【男の花道🌸】

桑田佳祐の『稲村ジェーン』の元ネタとしても知られるジョン・ミリアス監督によるサーファー映画。ベトナム戦争に徴兵され、生還した男達の友情の軌跡をカリフォルニアビーチの波乗り🏄‍♂️ロマ
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ロング・ライダーズ(1980年製作の映画)

4.0

師であるペキンパーと比べると随分小規模で堅い雰囲気のウエスタン。本物の兄弟俳優三組を使ったことでも知られるジェシー・ジェームズ&ヤンガー兄弟を主役に据えた実録犯罪アウトローもの。そこそこ楽しめる佳作。>>続きを読む

ミネソタ大強盗団(1972年製作の映画)

4.0

『ライトスタッフ』『存在の耐えられない軽さ』など娯楽映画から文芸作品まで幅広く手掛けるフィリップ・カウフマン監督の初期作。ジェシー・ジェームズとヤンガー兄弟が大西部を跋扈する実録犯罪モノ。

クリフ・
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沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)

4.8

【牢獄】

過去に篠田正浩も映画化してるやつだが、遠藤周作の原作『沈黙』ってそんなに面白いか?。どうも大した小説のように思えないのだが。🤷‍♂️

かなり昔図書館で読んだのだが、主人公が酷い目に遭って
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クンドゥン(1997年製作の映画)

4.3

【曼荼羅】

少なくともスコセッシによる宗教映画の中では『最後の誘惑』よりも統率の取れた内容で、違和感なく観れる。チベットの僧侶ダライ・ラマの「信仰と信念に基づいた」半生を丹念に描いた秀作で、はっきり
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最後の誘惑(1988年製作の映画)

4.3

【葛藤】

映画としての完成度は決して高くはなくとも、長尺を一気見させるスコセッシらしい映像テクニックと極彩色の映像表現は一見に値する触れちゃいけない【タブー】に挑んだキリスト映画。内容に反してそこま
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エル・トポ(1970年製作の映画)

4.3

【私達はどこから来てどこへ行くのか】

世界的コミック作家メビウスとも交流の深い鬼才ホドロフスキーによる純正カルト。西部劇meetsドラッグ💊ムービーという趣向の超絶サイバーパンクもの。

全編カオテ
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レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード(2003年製作の映画)

4.3

【まるで油ギトギトのラーメン🍜】

別にロバート・ロドリゲスの大ファンってわけじゃないが、芸術色の強いタランティーノと違ってかなり俗っぽい(決して悪い意味ではなく)全編ゲチョゲチョした雰囲気が爽快で楽
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フランケンウィニー(1984年製作の映画)

4.0

【少年と犬】

🐶初期ティム・バートンの不思議なホラー・ファンタジー。不慮の事故で死んだ愛犬を科学技術で蘇らせる孤独な少年の物語。なぜか退廃的なモノクロ。

🐶後期ほどの毒気はないが、短編なのでアッサ
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ジーンズブルース 明日なき無頼派(1974年製作の映画)

4.8

【俺たちに明日はない!👖】

主演・梶芽衣子と渡瀬恒彦。日本版ボニー&クライドを目指したと言われる中島貞夫監督によるアウトローシネマ。

やさぐれた男女の情念と怨念とSEX、そして逃避行を刹那的な映像
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ミッドナイト・エクスプレス(1978年製作の映画)

4.6

【深夜特急🚅】

ヤクの密売容疑でトルコ政府の手で監獄に収監された男の必死の脱走劇。アラン・パーカーらしく「自由を求めて生きる」人間を描いたシリアス作品。脚本はオリヴァー・ストーンが担当しており、如何
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エイトメン・アウト(1988年製作の映画)

4.5

【八百長試合💸】

嘘だと言ってよ、シューレス・ジョ〜‼️😭

なぜか日本未公開に終わった野球業界⚾️内幕モノで、異端児ジョン・セイルズらしい批評性を感じることができる秀作エンタメ。役者のアンサンブル
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ザ・プレイヤー(1992年製作の映画)

3.5

【くたばれハリウッド💢】

ロバート・アルトマン監督らしい皮肉たっぷりな映画業界内幕モノなんだけど、冒頭の『黒い罠』みたいな長回しシークエンスだけが見所であとは過去作の焼き直しみたいになってる。この監
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ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ(1999年製作の映画)

3.6

【世界音楽紀行🇨🇺】

昔流行った音楽ドキュメンタリー映画。ヴィム・ヴェンダース監督作品。民俗音楽研究者でもあるライ・クーダーさんがキューバ音楽を訊ねにミュージシャンとセッションしたりLiveを行った
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ラスト・ワルツ(1978年製作の映画)

5.0

【大音量で上映すること!🎸】

スコセッシの近作『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』のラストで「ロビー・ロバートソンの追憶に」という意味深なテロップが出るんだけど、この映画以降長くスコセッシとコンビ
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愛と希望の街(1959年製作の映画)

4.6

【ぼくは正しい犯罪者になるべきだった】

大島渚のデビュー作。この頃からペシミスティックで不条理なムードが強く押し出されており、鳩=平和を売って金儲けする貧乏少年の視線を通し戦後日本の醜悪さを痛烈に抉
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儀式(1971年製作の映画)

5.0

【優しいサヨクのための嬉遊曲?】

大島渚らしく日本戦後史を「バカ共による芝居」として再構築した反・歴史映画。

下卑たブラックジョークで日本の恥ずかしい儀式の連続を痛快に笑い飛ばした一編。河原崎健三
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バリー・リンドン(1975年製作の映画)

4.6

【本来笑うべきシーンではないのに】

中世イギリスを舞台にした歴史絵巻なんだが、所々笑ってしまうシーンが多々あって「これってわざと?」みたいな雰囲気が強い。キューブリックらしい【企み】を感じさせる珍妙
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コンドル(1975年製作の映画)

4.3

シドニー・ポラック監督による左派的アプローチ(米国批判)を盛り込んだメロドラマ趣向の強いサスペンス。正攻法な演出で一気見できる秀作となった。

😍主演のロバート・レッドフォードの美貌に女性客はキャーキ
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大いなる勇者(1972年製作の映画)

4.5

🤠脚本が西部劇マニアのジョン・ミリアスで監督はシドニー・ポラック、主演はレッドフォードという面子の異色作。若干『レヴェナント/蘇りし者』を彷彿とさせる大自然との格闘を描いたサバイバル・ウエスタン。>>続きを読む

追憶(1973年製作の映画)

4.5

シドニー・ポラック監督✖️ロバート・レッドフォードのコンビ作はどこか昭和の古き良き邦画の臭いがしてクセになる。叙情的なメロドラマの逸品。🎥

50年代赤狩りの時代を生き抜いた男女の視点を通して語られる
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宇宙人ポール(2011年製作の映画)

4.3

【宇宙人に逢いたい👽】

英国が産んだお笑いコンビであるサイモン・ペッグとニック・フロストが訳あり宇宙人と遭遇する痛快ロード・ムービー。これがホントの『未知との遭遇』ってやつですよ。😁😁😁

全編通し
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SUPER 8/スーパーエイト(2011年製作の映画)

4.0

【スピもどき】

J.J.エイブラムス監督だから心無いスピルバーグもどきでもマインドは外さない良作だと思った。ネット/オタク世代が作った『未知との遭遇』として評価できる作品。

これと似たようや設定で
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ターミナル(2004年製作の映画)

3.8

【ハム・トンクス🍔】

主演のトム・ハンクスがどんどん太ってきてるのが気になる。彼の演技は上手いが、ヒロインのキャサリン・ゼタ・ジョーンズもいい味を出しているヒューマン・ドラマの佳作。

一言文句を付
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キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン(2002年製作の映画)

3.8

【詐欺師の生涯🕶】

脚本がひねくれてて面白いとは思うけど、編集が過剰でフラッシュバックに頼った構成がイマイチだった作品。なんか画面がゴチャついてて見辛い。😓

ディカプリオとトム・ハンクスの掛け合わ
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マイノリティ・リポート(2002年製作の映画)

3.6

【映画の頭脳破壊💣】

リアルタイムで映画館で観た作品だが、冒頭のグルグル回転するカメラワークと編集の気持ち悪さで途中退場した作品。(笑)
映画館のトイレでゲロゲロ吐いちゃった。

これならまだ前作『
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A.I.(2001年製作の映画)

4.0

【そりゃ涙も枯れる】

公開当時は全く評判にならなかったスピルバーグ作品だが、心無いキューブリックごっこみたいな演出を除けば彼らしい素朴でピュアなSFファンタジーといった感じで決して悪くはない佳作。
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ラヴ・ストリームス(1983年製作の映画)

3.7

【虚構の楽園】

やはりジョン・カサヴェテスの作品は設定が複雑怪奇で一度では理解しづらい。これなら黒沢清の『ニンゲン合格』の方がまだマシ。個人的には…。

ジーナ・ローランズとカサヴェテスの姉弟関係や
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ラスベガスをやっつけろ(1998年製作の映画)

5.0

いまのところテリー・ギリアムの映画でストレートに楽しめたのは本作だけ。LSDによる幻覚症状やアニメなどを効果的に使ったトリッピーな映像体験と激動の70年代を皮肉ったブラック・ユーモア風ストーリーが好み>>続きを読む

ガープの世界(1982年製作の映画)

3.8

なかなかヒューマンで泣ける映画なのだが、狙い過ぎなブラックユーモアや社会風刺が本来のエンタメ性を阻害しストレートに楽しめない印象を受けた。う〜ん。😔

ロビン・ウィリアムズの演技が良いだけに勿体ない気
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