似太郎さんの映画レビュー・感想・評価 - 9ページ目

抵抗(レジスタンス)-死刑囚の手記より-(1956年製作の映画)

4.6

ロベール・ブレッソンらしく厳格な画面構成と哲学的なダイアローグが印象的な脱獄映画。其処彼処にドストエフスキーなどのロシア文学の影響が垣間見れる。

全編ド素人の役者を起用し、ブツブツ独り言を言いながら
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(1960年製作の映画)

4.6

中学生の頃にVHSで借りて観た作品。同じ脱獄モノでもアメリカの『大脱走』みたいな派手さがなく、ひたすらリアリズムに徹するフレンチ・ノワールの古典。

正攻法な画面とひたすらガツン!ガツン!という音響効
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地獄の警備員(1992年製作の映画)

4.5

【放心状態】

『孤独のグルメ』でお馴染み(?)の松茂豊さんが元・力士という設定のバケモノ警備員を熱演した、黒沢清監督による悪ふざけホラー。

やはり黒沢清は難解なアート系監督ではなくダジャレ好きなお
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うなぎ(1997年製作の映画)

5.0

【心の中】

冒頭でサラリーマンの役所広司が謎の手紙を読み、浮気中の妻を出歯包丁で惨殺したあと「フ〜ン、フ〜〜ン♫」と鼻歌を歌いながら血塗れで自転車を漕いで警察署へ出頭するシークエンスが傑出しておりズ
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Shall we ダンス?(1996年製作の映画)

3.8

【まじめにふまじめ?】

本作と同年公開の『キッズ・リターン』とはぜんぜん真逆のアプローチで、成熟した大人のためのコメディ。草刈民代が魅力的なヒロインを好演。

周防正行監督らしい機知に富んだ社会風刺
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女は女である(1961年製作の映画)

3.7

【途中から💤】

フランス映画はたまにクセの強い展開で観ていて眠くなるものが多く、本作もポップでキッチュな恋愛映画の典型みたいな感じでそこまで好みではなかった。わざわざミュージカルにする必然性も特に感
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8 1/2(1963年製作の映画)

4.8

【監督の脳内世界だっちゃ🎞】

🤯次回作のネタに行き詰まった映画監督グイドの内省をカーニバル的な感覚で綴ったフェデリコ・フェリーニの代表作で、現在でもカルトな人気を誇る作品だっちゃ。

当時のフェリー
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カイロの紫のバラ(1985年製作の映画)

4.7

🎥ウディ・アレン監督らしいエスプリの効いた大人向けファンタジー。ある意味で『ラムの大通り』の女性版だっちゃ。苦しい恐慌時代に於いて【夢見る力】と【生きる力】を描いたほろ苦い一編となっている。

主演の
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ラムの大通り(1971年製作の映画)

4.7

【夢のはなし⚓️】

主演のリノ・ヴァンチュラが酒🍷と映画女優のラムちゃん(ブリジット・バルドー)に恋する無鉄砲な男を好演する大人のためのファンタジーだっちゃ。

監督のロベール・アンリコは一貫して【
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ボブという名の猫 幸せのハイタッチ(2016年製作の映画)

4.0

このミュージシャン志望の主人公の堕ちっぷりが、英国映画特有のキナ臭さというかケン・ローチ的な雰囲気が少しあったね。

最後はハッピーエンドで良かった。一応、ボブという名の猫は守護天使的な役割。貧困層の
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アルゴ探検隊の大冒険(1963年製作の映画)

4.3

【冒険の匂いがする☠️】

特殊効果の達人レイ・ハリー・ハウゼンによるストップモーション・アニメ✖️実写映画という着想がファンタジックな中世を舞台にした冒険映画の古典的名作。

のちのティム・バートン
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悪魔の人形(1936年製作の映画)

5.0

【ババアの復讐劇👵】

『フリークス/怪物団』の鬼才ブラウニング監督とハリウッドの異端児エリッヒ・フォン・シュトロハイムが脚本を担当して作り上げた珍味・SFホラーの傑作。配給はMGM。

トッド・ブラ
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用心棒(1961年製作の映画)

5.0

【斬られりゃ痛えぞ〜😁】

のちにセルジオ・レオーネ✖️イーストウッドにより『荒野の用心棒』としてリメイクされた事でも有名な作品。黒澤明らしく懐疑的な視点の冴えるアクション巨編。墨絵のようなモノクロ映
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七人の侍(1954年製作の映画)

5.0

【熱量🔥】

破格のスケールで展開される野武士と百姓の戦いを描くリアリズム時代劇。巨匠・黒澤明の代表作で血沸き肉踊るアクションを3時間堪能できる日本映画の金字塔。

主演の三船敏郎と志村喬の師弟関係が
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無法松の一生(1958年製作の映画)

4.3

なぜか阪東妻三郎のオリジナル版より先に観た三船バージョンの『無法松』。稲垣浩も戦後、ヴェネチアで金獅子取ってウハウハだった事だろう。(黒澤明並みの巨匠にはなれなかったが)

カラー映像が綺麗。さすがは
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無法松の一生(1943年製作の映画)

4.8

【萌えキャラとしての松五郎】

バンツマちゃんの活き活きとした漢っぷりが爽快な稲垣浩監督&伊丹万作脚本による名作。人力車でスーイスイ。🏃‍♂️💨

子役の長門裕之(当時は沢村アキヲ)も可愛く、恩義&忠
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生れてはみたけれど(1932年製作の映画)

4.3

小津安二郎の初期作品。戦前の暗い世相が反映してる為、貧乏臭くウジウジしているのが特徴。全編に渡って不景気感がすごく出ている。

出てくる子供と大人の対比がアイロニカルでまるで風刺喜劇(?)を観てるかの
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おくりびと(2008年製作の映画)

3.6

リアルタイムで映画館で観た後「これは褒めるような映画ではないな!💢」とキレた作品。アカデミー賞獲っても数年経てば風化する内容でちっとも心の琴線に触れない。

小山薫堂の書いた脚本が大いにあざとく、ラス
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ぐるりのこと。(2008年製作の映画)

4.3

失われた10年と言われるバブル崩壊〜9.11同時多発テロまでの激動の時代を背景にした夫婦の性生活を綴ったヒューマン・ドラマ。作り手の涙腺を搾り取る演出がギリギリ臭い。

リリー・フランキーが『万引き家
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ピクニック(1936年製作の映画)

4.2

未完に終わったルノワールの小品ラブロマンス。牧歌的なフランスの田舎町を舞台にした「近くて遠い」男女の絆を描いたもの。

絵画的で瑞々しい映像美が良かった。長編ではないので、アッサリ終わる短編映画として
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ゲームの規則(1939年製作の映画)

4.8

【そして誰もいなくなった🍂】

これは映画史上に残る「名作」というより「人を食ったカルト作」という雰囲気が濃厚な、ブルジョワ達による愛憎悲喜劇。

全編に渡って即興的で何をしたらいいのか不明瞭な点がゴ
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ヨコハマBJブルース(1981年製作の映画)

4.3

【灰色の街】

ロバート・アルトマンの『ロング・グッドバイ』をこよなく愛する松田優作。TVドラマ『探偵物語』の拡張バージョンとも言える作品で、『十三人の刺客』『大殺陣』など男臭い時代劇を得意とする工藤
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ダイナー(1982年製作の映画)

4.6

脚本家出身であるバリー・レヴィンソンの監督デビュー作。もう一つの『アメグラ』。メリーランド州ボルチモアをここまで魅力的に描いた青春映画もないと思う。

主演のミッキー・ロークにケヴィン・ベーコン、ダニ
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アメリカの影(1959年製作の映画)

4.0

【黒光り】

「その一瞬」を永続的なモノとして封じ込めるカサヴェテス的話術を確立した記念碑的映画。瑞々しい青春映画の佳作。

チャーリー・ミンガスの荒々しいサックスが、底辺層に蠢く黒人たちの無骨な生き
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ハズバンズ(1970年製作の映画)

3.7

【停滞夜】

ジョン・カサヴェテスの映画はある意味前衛的なのだろうが、たまに即興演出に頼りすぎでグダグダかったるいテンポでついてけなくなるのが難点かも。🤷‍♂️

一応『フェイシズ』と『こわれゆく女』
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ダークマン(1990年製作の映画)

4.3

【お待たせ🦸】

『シンドラーのリスト』以前の初々しいリーアム・ニーソンが演じるダーク・ヒーローものであり、サム・ライミ初期の代表作でもある。

顔に大怪我を負った謎の男、その名はダークマン…の活躍を
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死霊のはらわたIII/キャプテン・スーパーマーケット(1993年製作の映画)

5.0

【ふんどし!ふんどし!】

🏰もはや本作は『死霊のはらわた』の続編じゃなくて『アルゴ探検隊の大冒険』路線に開き直った感がある、中世を舞台にしたバカ・ファンタジー。

🏰サム・ライミらしいB級感バリバリ
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エイリアン2(1986年製作の映画)

4.3

【今度は戦争だ】

何故ぼくがジェームズ・キャメロンの作品をスコア4.3点以上にしないかは、結局この監督が主人公をヒロイックにして万人ウケを狙う魂胆が透けて見えるからだろう。

本来サイコホラー色の強
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サタデー・ナイト・フィーバー(1977年製作の映画)

4.4

【ただのボンクラ】

よ〜く、考えたらぜんぜん格好良くないウダツの上がらない兄ちゃんが夜中にディスコでフィーバーているだけの侘び寂び&哀愁漂う作品。🕺✨

若干アメリカン・ニューシネマを引き摺っている
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NARC ナーク(2002年製作の映画)

4.4

【こんな上司はイヤだ!👮‍♂️】

『フレンチ・コネクション』同様に麻薬捜査班の活躍と狂気を描いたサイコパス的アクション映画の秀作。知名度は低いが見応え抜群。

主演の刑事ジェイソン・パトリックが全く
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赤い鳥逃げた?(1973年製作の映画)

5.0

【青汁みたいな青春🍀】

和製アメリカン・ニューシネマとして名高い藤田敏八監督の破滅型青春映画。逃亡プロダクション制作。

主演、原田芳雄と大門正明のコンビに若き日の桃井かおりが加わって『突然炎のごと
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君の名は。(2016年製作の映画)

4.0

【これはボクと彼女の㊙️関係についての物語だ】

リアルタイムで劇場で鑑賞した作品。あの細田守監督が相米慎二チルドレンなら、新海誠監督は大林宣彦チルドレンである。そして二人を繋ぐ架け橋が【宮崎駿】とい
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バケモノの子(2015年製作の映画)

3.8

『劇場版デジモンアドベンチャー』『時をかける少女』『サマーウォーズ』など、毎回CGをふんだんに使ったツルツル、テカテカした作画が印象に残る細田守監督作。

かなり前作、前前作の比較してお子様に配慮した
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闇の子供たち(2008年製作の映画)

4.0

【ミスティック・リバー並みの不快感】

公開当時から賛否両論真っ二つに分かれた阪本順治作品。彼は巨匠だが、たまに酷い映画も撮るので要注意!🙅‍♂️

江口洋介、妻夫木聡、宮崎あおい、そして佐藤浩市とい
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間違えられた男(1956年製作の映画)

4.5

【ゆきゆきて、冤罪!】

冒頭部でいきなりヒッチコック自身の解説から始まる実話モノ。「世にも恐ろしい物語を皆さんにお見せしよう🤫」が気合入っている。

主演のヘンリー・フォンダ演じる薄幸な男が強盗に勘
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知りすぎていた男(1956年製作の映画)

4.5

昔TVで観てジェームズ・スチュワートとドリス・デイの夫婦二人組が謎の組織に巻き込まれる展開に終始ハラハラした一作。

ヒッチコックお得意のサスペンス映画でイギリス時代の『暗殺者の家』のセルフリメーク。
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