似太郎

ヨコハマBJブルースの似太郎のレビュー・感想・評価

ヨコハマBJブルース(1981年製作の映画)
4.3
【灰色の街】

ロバート・アルトマンの『ロング・グッドバイ』をこよなく愛する松田優作。TVドラマ『探偵物語』の拡張バージョンとも言える作品で、『十三人の刺客』『大殺陣』など男臭い時代劇を得意とする工藤栄一監督による異色のハードボイルド・ロマン。

脚本は神代辰巳や相米慎二とよくタッグを組むシナリオライター、丸山昇一氏。全編80年代フレーバーの効いた松田優作の独壇場である。敵役の内田裕也との絡みも絶妙で、光と影の魔術師・工藤栄一監督らしいスタイリッシュな映像センスが光るやさぐれた男達の生き様をクールに描いた一編。

『狂い咲きサンダーロード』で頭角を現した山田辰夫もなかなか太々しく、この頃らしい(私はまだ生まれてないが)日本的な情緖が感じとれる横浜港の風景やブルース・バーなどがどこか懐かしい気持ちにさせる。元町、伊勢崎町、阪東橋、野毛山、日出町などロケとなった横浜のご当地巡りをしている感覚もあり非常に愛着の湧く作りだった。

ラストもほとんどアルトマンの『ロング・グッドバイ』の模倣なのだが、制作も兼ねている松田優作のハードボイルド趣味が炸裂したある意味カルト的な世界観がクセになる隠れた逸品と言える。

内容的にはこれといった個性に乏しいが、優作の演じるフィリップ・マーロウもどきの探偵が思わず微笑ましくなるチープで愛しいアウトロー映画と言える。☺️
私もこんなハードボイルドな生き方をしてみたい…。🚬😎
似太郎

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