似太郎

ハズバンズの似太郎のレビュー・感想・評価

ハズバンズ(1970年製作の映画)
3.7
【停滞夜】

ジョン・カサヴェテスの映画はある意味前衛的なのだろうが、たまに即興演出に頼りすぎでグダグダかったるいテンポでついてけなくなるのが難点かも。🤷‍♂️

一応『フェイシズ』と『こわれゆく女』はついていけたんだが、本作と『ラヴ・ストリームス』は難解過ぎてちょっとな〜。😓
濱口竜介が誉めたからといって素直に賛同はできない。

即興を大胆に取り入れることにやって映画本来の「テーマ」とか「目的」が霧散している印象。肝心の内容も情けない中年男三人の珍道中がひたすらグダグダと描かれるだけのもので、エンタメ性は正直0。

ジャック・リヴェットの『セリーヌとジュリーは舟で行く』ほどの「置いてけぼり感」は無くとも、やはり観ていてキツいものがあるクセの強い演出。いくらシナリオを粉砕したってダラダラと集中力が持続しなければ意味がない。

「老いと死」に取り憑かれた中年男の逃避行を描いた意味で濱口の『ハッピーアワー』的な存在論を内包しつつもやはりシックリ来ないオチだった。中盤の賭博のシークエンスが若干劇的だが、カサヴェテスの終始一貫してフリーキーな演出が物語と噛み合わずムズムズする出来栄え。
似太郎

似太郎