似太郎

プレイス・イン・ザ・ハートの似太郎のレビュー・感想・評価

3.8
主演の肝っ玉母さん役のサリー・フィールドもいいが、脇役の視覚障害者ジョン・マルコヴィッチの名演技が光る一作。夫を事故で失ったシングル・マザーの奮闘を描いた、文芸ドラマ。

ニューシネマを率先したロバート・ベントン監督だけに静謐な作風でアメリカ南部テキサスの広大な自然と、災難去ってまた一難な貧困家庭の描写が秀逸。KKK(白人至上主義者)は怖い。

その年のアカデミー作品賞ノミネート作品。どうも全体を通して緩慢なテンポなのが否めないが、ネストール・アルメンドロスの撮影がテレンス・マリック『天国の日々』同様に美しく、絵画的な映像に仕上げている。

宗教の押し付けっぽいラストが少し怪しいが、純朴な田舎のアメリカ人の生き様が実に見応えのあるファミリードラマの佳品である。幾分、優等生的な作風ではあるものの鼻につく程嫌味ではない。少なくとも『クレイマー、クレイマー』よりは好きだった一作。
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