ん?これはコメディなのかな?🙄すごく大人っぽい老成したラブストーリーだと思うけど?。さすがはシドニー・ポラック監督だけはある。『ミセス・ダウト』とはぜんぜん違うぞー。
主演のダスティン・ホフマンの品格のある名演技が素晴らしい。大人の恋愛事情を皮肉っぽく、時に優しく描いたソフィティスケートムービーである。彼の女装姿がキュートでお茶目なことこの上ない。また、デイヴ・グルーシンによるほんわかしたフュージョンみたいなスコアが懐かしい気持ちに拍車をかける。
やはりこの監督は70年代から一貫して「男女の淡いロマンス」と「感情の機微」に拘っていて、人生経験を積めば積むほど味わいが出てくる。如何にもニューヨーク派らしい達観したセンスを感じる。ブロードウェイ風刺モノとしても楽しく観られる逸品。
80年代アメリカ映画ってこんなに渋かったかなぁ?と思わせる成熟したヒューマン・ドラマであり、人と人との触れ合いをしっとりとしたタッチで包み込んだ、非常にアダルティな恋愛映画の秀作と言える。
『恋愛小説家』や『恋のためらい/フランキーとジョニー』など、NYを舞台にしたラブコメは渋いのが多いな、としみじみ思った私。元祖シティ派と言ってもよいお洒落でコクの深い映画に仕上がっている。ブレイク前のビル・マーレイも出てるし。