アむーレ

クライマーズ・ハイのアむーレのレビュー・感想・評価

クライマーズ・ハイ(2008年製作の映画)
3.7
群馬県御巣鷹山で起きた日航ジャンボ機墜落事故を追った架空の地方新聞社「北関東新聞」を舞台に、新聞記者・新聞社職員の奮闘の様子を描いた作品。

この映画は公開当時、試写会で観に行きました。それから約15年振りに鑑賞。
当時も思ったけど録音が良くない。ボソボソ声のシーンや、周囲の環境音やガヤが入っている時のセリフが聴こえにくかったり、BGMとのバランスが悪くセリフが聴こえにくい所が散見される。これは上映会場でも同じこと思った記憶があったので、今回はテレビで鑑賞しましたが同じでした。

新聞社は日々、戦場だ!という言葉が似合いすぎる物凄い迫力。役者さんの演技も凄まじく、柄が悪いどころではなくここは極道か?と思うほど怖い世界だなぁと感じるほどでした。
それほど、新聞の記事の構成や毎日朝刊が家に届くまでの時間との戦いは壮絶なものなんだなぁと新聞社の世界を垣間見れる作品。

そんな中でも日本史上最大の航空機事故「日航123便墜落事故」を巡っての現場とのやり取り、情報が真実かどうかを見極める駆け引き、社内調整など、新聞社に限ったことではないかもしれないけどこういう大きな事件の裏側ではたくさんの人のエネルギーが関わることで自分達の目にも届いているんだなぁと実感。

作品全体の構成としては、時系列的には主人公=悠木の事故前の趣味のシーン(息子が小さい頃)→事故直後の新聞社での仕事のシーン→事故後(退職後?)の山登りのシーン+大きくなり結婚した息子に会いに行くシーン…「前・中・後」3つを描いているのだけれど、「中」の隙間に「後」が差し込まれている形になっていて、結構頻繁に時系列が飛ぶので慣れるまではびっくりしたり混乱したりすると思う。字幕や色彩・演出等で分かりやすく表現することはできなかったか惜しいなと感じました。

本筋としてはもちろん事故を新聞記事にする新聞社のシーンだと思うんだけど、その新聞記者の仕事を山登りに例えて主人公の山登りを描き、その上で航空機事故の現場から発見された乗員の家族へ当てた遺書から人生観を悟った主人公が仕事で忙しすぎて疎遠になっていた息子に会いに行くという家族愛と、映画を通して伝えたいことが盛り沢山すぎて視聴者に向けたメッセージがあれもこれもと欲張りすぎた結果、散ってしまった印象。
それに加えて会社の体質(特に社長のセクハラ・パワハラ問題)とかもあるからね、観てる方はあれもこれもと忙しすぎて見終わったときとても疲れる印象。
作品観終えてどう思ったかと感想文書こうとしたときに一番はこれでしょというのがどこなのかハッキリしない感じ。

時系列・メッセージ性、両面ともその濃淡をハッキリして製作サイドが優先的に伝えたいことと視聴者側が感じとる部分というのをうまくリンクさせて欲しかったなと感じました。
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