常盤しのぶ

ジョン・ウィック:コンセクエンスの常盤しのぶのレビュー・感想・評価

4.5
コンチネンタルホテルが大阪に上陸! ということでトンチキジャパン描写が大好きな私にとって期待しかなかった本作。その期待を遥かに上回るトンチキぶりを見せつけられて困惑ながらも大満足だった。トンチキジャパンだからと安易にゲイシャフジヤマを出してこなかったのはかえって新鮮に感じられた。

頼んでもいないのに真田広之の抜刀=ジツが冴え渡る!! コンチネンタルオーサカでのお出迎えは紛うことなきジャパニーズヤクザ!! 食料庫に見せかけた武器庫から出てくるドス・ポン刀・スリケン!! ザッケンナー!! スッゾコラー!!

そして影でラーメンを啜るは盲人の剣客ケイン!! ドンパチやっている間も平然とラーメンを食っているその姿は正に流浪の剣客!! 盲人らしい人感センサーチャイムで敵の位置を把握する戦闘方法が素晴らしい。格闘のキレが良すぎる……と思って調べてみると、ケイン役のドニー・イェンはイップ・マンの人で、幼少期にブルース・リーの動きを完コピしていたらしい。なるほどね。

格闘センスもそうだが、ケインの盲人らしい所作に心を奪われた。杖で歩き、音を聞き、手で触れ状況を把握する。盲人として当然の動きを当然のようにこなす姿に惚れ惚れした。ほら、何かと心の目がどうこう言って盲人設定吹き飛ばす人いるでしょ? あぁいうのがなくてとても良かった。

ベルリンでのデブ戦は周りの一般人がドンパチを気にせず踊り狂っているのがシュールでとても良かった。2D格ゲーの背景にいるよく分からないテンションの外野を実写化するとああいう感じになるのだろうかという謎の納得を得られた。また、トップビューからのドラゴンファイヤーもそういうゲームっぽくて観ていて非常に楽しかった。何食ったらああいう映像を撮ろうという気になれるのだろうか。本作ではそういったゲームっぽいシーンが過去作と比較して多い気がする。

エッフェル塔でのカーチェイス(物理)も好き。終盤の階段を登るシーンで段数が多くて嫌そうな顔をするジョンが可愛い。本作はそんな多種多様なアクションシーンがミッッッチミチに詰め込まれている。その分シナリオは割とあっさり。というより『会話はいいからさっさとアクションやらせてくれ!!』という監督の言葉が聞こえてくるかのような薄さである。気持ちは分かるが、もう少し建前をしっかり作っても良かったのでは、と思わなくもない。

過去作と比較して1本の作品としての出来はやや見劣りするが、トンチキアクション大好きな私にはこれでもかというくらい刺さりまくったのが本作、という評価が最も適当だと思う。是非とも映画館で。