常盤しのぶ

TENET テネットの常盤しのぶのレビュー・感想・評価

TENET テネット(2020年製作の映画)
4.0
ノーラン監督作品視聴3作目。インターステラーもメメントも難解ではあったが、本作はそれらを遥かに凌駕する。出演者ですら理解できないのに視聴者である我々が理解できるわけないだろ!! それでも物語の前半まではどうにかこうにか辛うじて半分くらいは理解できた。この調子ならなんとかなるか? と思わせておいてあのカーチェイスである。何あれ。

巡行側と逆行側とが激しく入り乱れる終盤戦。理解しようとすればするほど訳が分からなくなり、そして物語が終わる。クオリティが低い故の訳の分からなさではなく、上質すぎるSFを観た時のストレスを感じさせない難解さである。意味の分からない、理解できない情報の渦に巻き込まれたい時にオススメの映画である。そんな人いるのかわからないが。

時間逆行の仕組み以外に言及するならば、本作は男と男のバディ物である。はい、私の大好きなやつです。ロバート・パティンソン演じるニールが主人公の良き相棒として動いてくれます。初対面の主人公からしてみれば胡散臭さこの上ないです。初対面で主人公の好物とか知っているし。しかし、物語の終盤で主人公はニールとの関係を友情と表現しています。ニールもニールで最後に素敵な活躍を見せてくれます。こういうの好き。本作ならではというより本作でしか成立しない結末をお楽しみください。

時間逆行に話を戻すと、本作は難解さがウリとはいえ、その仕組みにウェイトを置きすぎていてシナリオが少しおざなりになっている印象がある。この仕組みについていけるシナリオが果たして存在するのかを考えると少し贅沢な悩みとも言える。いやしかしメメントが面白かったからいけるはず。

ノーラン監督らしく爆破シーンなどはCGを使わず見応えたっぷりである。こういうのがあるから映画館で観たかった。余談だが、監督最新作は絶対映画館で観る。