アむーレ

シン・ゴジラのアむーレのレビュー・感想・評価

シン・ゴジラ(2016年製作の映画)
3.6
う~ん微妙…

邦画作品にしてはかなり大がかりで金もかかってそうだし、VFXやCGがかなり頑張っていたと思う。見慣れた街並みがゴジラに次々と破壊されていくので日本人であればさらに胸熱だと思う。
だけど許せなかったのが第一形態のゴジラで、生物であるはずのゴジラの目玉がピクリともせずまばたきもしない、口を開けるシーンもパペットで撮影してるんかなと思うほどの無機質で、生物であるがゆえの『粘膜感』が全く感じられなかった。

あとは演出面だけど、早口で無表情で会話をする役人達。これはお堅いお役所感を表現するのに理解できるし悪いとは思わないけど、あまりにもお偉いさん方(政治家)にスポットを当てすぎていて、現場の混乱とか庶民のパニック感、嘆き、悲壮感などが感じられないので、国連が承認した原爆投下が決定された時も庶民への感情移入ができず、その決定がすごく悲しいとか怒りとか、感情に訴えかけてくるものが全くなかった。

なので、映画全体を通してもパニック映画ではあるけれど、本当に恐怖に直面している庶民の姿を描いているのではなく、ゴジラに対処する政治家たちの決定事項を箇条書きで読み進めるような印象で、とても無機質に感じ心揺さぶられることはなかったです。ゴジラのゲームで遊んでるみたいな遠目から俯瞰するような感覚。

それと、劇中セリフで外国人と話すシーンがあり翻訳の字幕が登場するのですが、白い背景に白文字はとても見にくい。それが一瞬ではなく何度もあった。この字幕は洋画を日本で流すときに全編通して言語字幕がつくようなものではなくて、限られたセリフだけにつく字幕なのでどのシーンでどこに表示されるものか制作側が把握できるはずなのですが、この読みにくさは確認しなかったのでしょうか?
字幕に輪郭加工などを加えて読みやすくする工夫など出来たはずですがそれをやらないのはなぜ?と思ってしまった。

なんか、エヴァンゲリオンみたいな世界観をゴジラ映画に反映させたいような演出を狙ったんだろうけど、全体的にその狙いばかりが目立ちすぎてしまっていて、正直、もっと普通で(自然で)良いのになって思ってしまいました。

これだけ特殊効果頑張れるんなら、パニック映画的な庶民の人間ドラマ交えた普通の演出でそこそこ良い映画になりそうなのに、こだわり強すぎて裏目に出てる感じで期待には程遠い印象を受けました。
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