Itaji

バッファロー’66のItajiのネタバレレビュー・内容・結末

バッファロー’66(1998年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

どうしようもく不器用なダメ男と天使の様な女の子の奇妙なラブストーリー
ストーリー的に好き嫌いが分かれる作品だけれども印象的なシーンが多く、何度観ても堪らなく好きな作品

まずこの映画はクリスティーナ・リッチの魅力が溢れている。
彼女目当てで初めて観ただけあって、どのシーンにいても目力があって画になるし、ぽっちゃりした姿も非常に可愛らしい。
リバイバル上映で観た時は字幕よりも彼女の表情に目が釘付けになってしまう位魅力的。

序盤を観ているとビリーの自分勝手さにイライラするのだが、中盤から彼の家庭環境や刑務所に入ってた理由などが明らかになり、余りに不憫な彼に同情していってしまう。

この映画は説明的な台詞で語るような映画では無く、状況や過去の映像を通して主人公の感情を表現しているのが自分好みな作風になっている。
特に両親との食卓シーンは地獄で、ギスギスと空回りが合わさった会話と途中で挟まれる回想シーンだけでビリーがどれだけ両親から愛を受けずに育ったのか分かる演出が本当に上手い!
(そりゃビリーもこんな性格にもなるよと思ってしまう位両親がクズすぎる)
カメラワークも食卓を座ってる人物の主観によって見せる関係性も斬新だし、ボーリング場でのワンカットで撮るレイラのタップダンスは初めて観た時は美しすぎて、今でも大好きな映画のシーンになっている。

ファミレスのシーンに移るとビリーが昔好きだったクラスメイトが出てきて、恥ずかしい過去をレイラのいる前でバラされた事によりさらなる不憫が重なっていく…
その果てにファミレスのトイレで「生きられない」と呟く姿が本当に人間臭くて涙腺に来てしまう。
それ以降ビリーは当たりが強かったレイラに対して素直になり、自然と彼女と距離を縮めていく過程は精神がボロボロになっている彼を見てきたからこそ、ホテルでレイラと手を繋いで抱き合うシーンが美しく見えたり、復讐を止めてコーヒーを買いに行くだけのシーンが幸せに感じられるのだと思う。

レイラが誘拐した男をこんな短期間で好きになるわけないとか、ビリーに共感できないとか言う人の意見も分かるが、自分には全てのシーンが刺さりまくる最高の恋愛映画です。
Itaji

Itaji