YN

家族の肖像のYNのレビュー・感想・評価

家族の肖像(1974年製作の映画)
3.9
このレビューがかけなくてフィルマークスの更新が止まってしまっていたのだった。

ヴィスコンティは「ベニスに死す」しか見たことがなく、そちらは結構好きなのだが、こちらは正直、「わたしにはまだよくわからない」と思った。

ベニス〜は孤独と自意識の物語で、老いてなお自意識に苛まれる主人公に共鳴できた。
本作で描かれているのは、人との関わりとそれによる変化、だったように思う。

序盤は安部公房の『闖入者』、あるいは映画「マザー!」を思い出すような高ストレスな展開。
しかしそこから、主人公の老紳士は「受け入れる」ことを選ぶ。
ここが今のわたしには理解しがたい。
その変化を、美しいものとしてなのか、老いの果てにある惨めさとしてなのか、どう受け取っていいのかもわからない。

果たして、彼にとって最も重要な価値観は、「家族」という、自分の外側にあるものだったのだろうか?
それを求めた彼に与えられたあの結末はどういう意味を持つのだろうか…?
美しい映画だったが、結局最後までわからないまま終わってしまった。

年老いたらわかるようになるのだろうか。20年後くらいにまた観てみたい。
YN

YN