アむーレ

HACHI 約束の犬のアむーレのレビュー・感想・評価

HACHI 約束の犬(2009年製作の映画)
3.7
1987年公開『ハチ公物語』のハリウッド版リメイク。
年老いたハチ公が健気に待ち続ける姿はグッと込み上げるものがあるね。

ストーリーの本筋はオリジナル版と同じだけど、最初の出会いと教授の死後のストーリーが相違。

オリジナルのほうは確か秋田で生まれてまだ名のない犬を譲り受けた上野教授が、脚が八の字のように元気に開いていたことからハチと名付けられたはずですが、こちらは首にタグが付いていて「八」と書いてあったのを教授の日本人の友人が見つけて教えてあげたことから「ハチ」と名付けられた。
忠犬ハチ公って、大切に愛してもらったご主人に尽くす犬の物語だから、名付けに関してはリメイクといえどできればパーカー教授(リチャード・ギア)の独断で決めてあげて欲しかったなと。

また教授の死後、オリジナルではハチは色んな人にたらい回しにされて粗雑に扱われるけどそこから常に逃げ出して自分のことを愛し続けてくれた教授を待ち続けるというストーリーだったのだが、こちらは雑に扱われるというシーンがないのですよね。むしろ引き取った娘が不本意とはいえ駅に行きたいハチを行っておいでと良いながら飼育放棄。優しいふりしてやってることは責任の放棄で偽善のように感じてしまいました。
オリジナルは次の主人に雑に扱われるということが対比となって教授のハチに対する無限の愛を際立たせていたので『忠犬』の意味がより際立っていたと思うので、今作はそのへんも今ひとつかな。

それと、今作のサウンドトラックは同じような雰囲気がずーっと永遠流れてる印象で、物語の色が一緒くた。永遠に待ち続けるという意味では合っているのかもしれませんが、物語の起伏に欠けていまいち盛り上がりが微妙かなと。

以上の理由から、個人的にはオリジナル映画の表現までは遠く及ばずという印象でしたが、『ハチ公物語』をリメイクしてアメリカで世界で公開してくれたことは日本のハチ公の物語が改めて脚光を浴びるきっかけを作ってくれたこととしてとても意味のあることであり、リメイクを実現してくれた関係者にはとても感謝。

レビュー数とか見るとオリジナルより圧倒的にこちらのほうが鑑賞されているようだけど、ぜひ1987年の日本版オリジナル『ハチ公物語』も皆に観てほしいなと感じました。
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