IKUZAGIE

ナイト・オン・ザ・プラネットのIKUZAGIEのレビュー・感想・評価

4.6
いや〜何というか、「大した理由も無いけどその映画が好きだ」っていう映画は皆様にもあると思いますが、個人的には『ナイト・オン・ザ・プラネット』はそういう映画のひとつだったりします。別段ジム・ジャームッシュのファンでは無いですが、評判の悪かった『デッド・ドント・ダイ』をオススメしたい程度にはジム・ジャームッシュの作品は好きなのでありまして、こと『ナイト・オン・ザ・プラネット』に関してはオムニバス映画の傑作で名作だと思っている次第であります。
どの辺が好きかと言いますと、まず音楽担当がトム・ウェイツという事で、もう好き。トム・ウェイツはジム・ジャームッシュの映画に役者としても、ちょいちょい出演してますが、やっぱ音楽でしょー。
『ナイト・オン・ザ・プラネット』公開と同時期に発表し、グラミー賞をとったアルバム『ボーン・マシーン』(1992年)でトム・ウェイツは、「急にパーカッションに目覚めた」と語ったそうで、『ナイト・オン・ザ・プラネット』のオープニングの"Back in the Good Old World"でも、出だしのパーカッションがとても印象的であります。「トムやってるねぇ!」と感激し、独特のしゃがれた歌声が館内に響くと、もう訳もなく拍手したくなるんです。しませんけど。他のお客さんに迷惑だから。
あとはもうあれですよ、1話目、ウィノナ・ライダーが素敵すぎてヤバい。とにかくヤバいの。時代や流行とか関係ない筋の通ったひとつの価値観が爽快で、身の丈について考えさせられる素晴らしいエピソード。
2話目、コメディ色が強いがこれまた人生の勉強になるエピソード。お金の価値観はこのエピソードから学びました。ちなみに『マンダロリアン』のモフ・ギデオン役のジャンカルロ・エスポジートが出演してたんですね。へ〜。なんか時の流れを感じる。
3話目、一番哲学的なエピソード。因果応報というか、日本昔ばなしに出てきそうなオチ。盲目の女性は『ベティ・ブルー』のベアトリス・ダルという事を改めて知る。そーなんだ!配役が秀逸。
4話目、一番コメディ要素が強い。ロベルト・ベニーニがひたすら喋る。ちょっとウザいかもしれないが、しっかり聞くと内容がメチャクチャすぎてマジ笑う。吹き出してもた。いやほんと酷い(笑)。
5話目、もっとも平凡だが一番哀愁があるエピソード。徹夜で飲んで朝になって現実に引き戻される感じはすごい共感できる。故マッティ・ペロンパー出てた。ヘルシンキだし、アリ・カウリスマキの映画を観ているみたい。
で、エンドロールにトム・ウェイツの楽曲"Good Old World (Waltz)"。まるでウイスキーが身体に沁みるような感じ、酔うたぁ〜。最高やったぁ〜。トム・ウェイツの楽曲は絶対夜が似合うよね〜。え?たった1週間のリバイバル上映?マジ?…短い!もう一回観れるかな!?
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