アむーレ

大河の一滴のアむーレのレビュー・感想・評価

大河の一滴(2001年製作の映画)
3.4
「大河の流れも一滴の雫から」という言葉があるように、人間社会や人生においても一滴の雫から見れば流れに抗えないものもあるがその一滴一滴が一生懸命に生きようとしているということを伝えたかったのかなと題名を聞いて思いましたが、その意味が作品の物語から伝わりにくかったと感じました。

主人公の親友が金沢に会いに来て自殺しちゃったときや、肉親との死別、戦争の話など、死の淵・生死の狭間が垣間見える点としては、一人一人の人生の生きる意味について考えさせられる点だと思ったけれど、そこに恋愛を含ませた結果なんだか残念なストーリーになってしまったかなと。
親友が自殺した原因だって貢いだ男には恋人がいて金だけ取られて一文無しになってしまって死んでしまうし、主人公だって幼馴染みが好きなんだかニコライが好きなんだかモヤモヤしたまま幼馴染みをロシアまで引きずり回すし、幼馴染みだって主人公を好きなんだけどハッキリしなくてモヤモヤしてるし、登場人物みんなが恋愛下手で、それが変な感じに際立ってしまっていた感じ。

それよりも主人公が親友の自殺から何を感じ、父親との死別から何を感じ、その結果どういう人生を歩もうとしたかということを際立たせてほしかったかな。恋愛絡めても良いけど、それぞれストーリーの中で起きた出来事が主人公の考えなり行動なりに反映されていかないと、それらの出来事が小間切れ状態で繋がりを感じないし、最終的にこの映画が何を伝えたかったかというところに辿り着かないと思う。

しかもニコライのビザ切れで強制送還、連絡忘れてましたテヘってなんやねん!
ビザを切らしたことに何か意味があればそこから話も広がるだろうけど、テヘって…
人生かけてオーディション受けてるのに人生を棒に振るやらかしを簡単にしてしまう大きな矛盾。ロシアの家でトランペット練習してたけど、ロシア人の恋人と一緒に暮らす中でどんな気持ちで吹いているのか…人生かけた男の行動とは思えなかった。

また、主人公の幼馴染みがニコライの家の最寄駅の喫茶店で待っている時に子供が窓越しにからかってきたシーンとか、そこに何か意図があるのかなと思ったら全然ないし、いらないシーン、意味のないシーンが多いかなって感じた。

加古隆の音楽は美しいし、ニコライ役を演じたセルゲイ・ナカリャコフのトランペットはとても素晴らしい。けど、正直それだけだよなとも感じてしまう。

原作とこの映画の違いってどうなんだろ?色々原作からはしょってたりするのかな?
この映画の残念な出来は原作が悪いのか映画の脚本が悪いのか…?
映像の雰囲気は良いんだけどね。
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