アむーレ

めまいのアむーレのレビュー・感想・評価

めまい(1958年製作の映画)
3.9
ヒッチコック作品、過去には『鳥』を鑑賞したことがあるけど、今回はサスペンスということでそれとはまた違った面白さ。

大学時代からの旧友から突然連絡が来て霊に取り憑かれたように様子がおかしい妻の尾行をしてほしいと頼まれたジョンが、旧友の妻=マデリンの尾行をする中でマデリンの様子がおかしい根拠・謎を探っていく。
その中でジョンはマデリンに恋をするのだが、マデリンを悲劇から救うことはできず…
しかし、その彼女に対する『恋』こそが、その裏に隠されている大きな大きな『嘘』に気づくきっかけとなっている。

いやぁ、騙された。
途中まで、曾祖母が取り憑いた霊の仕業によるホラーかなと思わせといて、実際は全くの大嘘。
そしてジョンの高所恐怖症から始まった物語だけど、高所恐怖症こそが表題の『めまい』の正体であることは間違いないのだけれど、そのめまいが具体的に何を指しているのか…それは最後まで見てようやく理解するという感じかな。

大きな嘘の操り人形にされたジョンが、高所で起こった二度目のトラウマ…いや、嘘を数えれば実際には三度目のトラウマかもしれない。
人の死を目の当たりにしたそのトラウマ、その中でも最後のトラウマが本当の意味での表題が指す『めまい』だったのかもしれない。

考察いくつかあるけれど、精神病棟に入院したシーンはラスト30分のシーンの後の時系列に当たるという意見に自分は賛成。
愛した女性に似た女性を見つけ、その女性が事件に隠された人物で、騙されていたことを知り、けどその女も愛してしまい、その女も最期は…これだけトラウマが重なったらあんなひどい鬱状態になるのも頷けるよ。

先に観ていた『鳥』とはジャンルがまるで違うので単純に比較はできないけど、『鳥』を観たときの衝撃には個人的には至らず。
けど、すごく面白いなって感じた。特にラストの30分は目が離せない。
サスペンス好き、どんでん返しストーリー好きな人にはハマるんじゃないかな。古くささを感じさせない、現代でも十分に楽しめる作品です。
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