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ゴジラ-1.0/CのIKUZAGIEのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0/C(2023年製作の映画)
4.2
歴代ゴジラ映画の中でも屈指の名作ですな(ちなみに『シン・ゴジラ』は傑作)。でもって、モノクロ版の方がストーリーに没入できますな。カラー版で観た時は「演技が少々臭い」と感じたのですが、モノクロ版はなんか役者の表情もシャープに感じて違和感なかったです。特に神木隆之介、安藤サクラ、佐々木蔵之介の演技はカラー版より良いように感じました。全く同じ演技なんですけどね。
改めて映画を観ると、元特攻隊員の敷島を演じた神木隆之介は、表情がとても印象的でした。ある時は完全に精神が病んでる人に見えて、そりゃゴジラの熱線で絶叫もするわなと思いました。太田澄子を演じる安藤サクラも表情がとても良かったです。負の感情にも流されず、自らの苦悩を抑えて自分のできる事をやるという、幸せでは無いが昔の立派な日本人って感じで流石でした。秋津を演じる佐々木蔵之介は、カラー版の時は「ちょっと熱くらしい」と思ったのですが、モノクロ版だと普通にノリのいい兄貴って感じで「こういう人いるよね」って印象に変わりました。あと、ちっちゃい女の子が泣くシーンはカラー版と印象が違って、おじさんちょっともらい泣きしそうになりました。何でしょう、モノクロになると画面の情報が減るため、観るべきものを観るというか、カラーの時より感情移入しやすい気がしました(多分個人差あり)。また、昔の邦画を観てるような感覚もあって、個人的にはモノクロ版めちゃくちゃ良かったです。
カラー版は昨年11月にIMAXで鑑賞しまして、隣席のご婦人(赤の他人)が映画の後半になると軽く嗚咽しながら観てたので、もらい泣きを我慢するのがしんどかったんです。で、今回モノクロ版で再鑑賞すると、普通に泣いてました(笑)。隣のおっさん(赤の他人)も多分泣いてた。まあアレですよ、感動したポイントは、心に障害を抱えてしまった人が、その心の障害に向き合い、なんとか立ち向かい、乗り越えようとする姿とか、どんな状況でも誰かを支え、また支えあおうとする人達の姿とか、それらを鼓舞する前向きな発言なんかに昭和なおっさん達はグッときたのだと思う。まあ、フリーレンの方が今風だよね。
あと、ゴジラの造形について。幼少時は昭和ゴジラに憧れた身の上としては、今回の山崎版ゴジラのデザインはとてもカッコ良かったです。銀座で吠えるゴジラも海上で砲撃くらってバランス崩すゴジラもカッコイイ。庵野版ゴジラ(シン・ゴジラ)もカッコイイと思ったけど、どっちかとなると山崎版ゴジラかなあ…うーん…とりあえず山崎版ゴジラは、歴代ゴジラの中でもベスト5に入るカッコ良さかと思う。ちなみにハリウッドのギャレス版ゴジラは爬虫類臭さが強すぎるのと、エメリッヒ版ゴジラは完全にパチモン枠なので、やはりゴジラと家電は国産にかぎる。
モノクロ版とカラー版、どちらを観るべきか考えると、ストーリーに没入したい場合はモノクロ版を。ゴジラの暴れる姿や海軍との戦いを注視したい場合はカラー版を。ということで、『ゴジラ -1.0』は、ハリウッドより格段に安い製作費やVFXが話題だったりしますが、ストーリーや役者さん達の演技も秀逸な素晴らしい怪獣映画なのでした!(しかし、山崎貴監督は波があるというか、幅が広いというか、『SPACE BATTLESHIP ヤマト』や『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』は何だったのか…)
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