はぐれけんきゅういん

哀れなるものたちのはぐれけんきゅういんのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
-
たまげた。たまげた上にちょっと泣いた。

予告での期待感の遥か上空を飛んでいかれました。もうエマ・ストーンの怪演ぶりに、非現実のなかにも奇妙なリアリティがある世界観に、その世界観に見事にハマるヘンテコな劇伴に、フワッフワのパフスリーブに圧倒され続けてあっという間の140分。ドーパミンドバドバ出てました。
かつてないほど美しく、すべて剥き出しのままの怪物が、暴れながら「ベラ・バクスター」を作り上げていくさまがどうしようもなく愛おしい。なんという人生讃歌。

エンドロールまでずうっと美しくて、そういうとこほんまに好きってにやにやしてました。


以下、原作読破後に2回目観たので追記(好きすぎ)。
映画レビューで原作小説のこと書くのはちょっと無粋だとも思うんですが、この映画だけ観て「わ〜よかった」で終わらすのもったいないよ!小説も映画もそれぞれの表現を追求してることがすごくよくわかるから!あと、映画は残念ながらアラスター・グレイ氏の言いたいことを上手く伝えられているかと言われれば実は不十分さが否めない。

あとこれは原作も映画もなんですが、不特定多数との性交渉とか、女性が売春することを軽く書きすぎって意見に賛同。「まあ生理的に無理ではないっすね」って相手との自ら望んでいない性交渉を経ても明るく生きれる人ってそんなにいないと思いますよ。SNSに溢れる性風俗産業の女性たちの匿名垢を見てれば余計にね。それ以上に避妊の描写がひとつもないし、性病だって本当に怖いし、不衛生な環境なら尚更です。ファンタジーっぽい世界観なのでそれもやむなしかもだけど、あれを絶賛した人の一部が勘違いしないかと言われればね…するでしょうね…
そんな冷静な視点で見直すと改めて当たり前に避妊しましょうねというお気持ちに。男女どっちもですよ。そして可能な限り、みなさんHPVワクチン打ちましょうね。いつどこで感染するかわからず、性病らしい自覚症状もなく身体を蝕まれて手遅れってなる前に。