はぐれけんきゅういん

首のはぐれけんきゅういんのレビュー・感想・評価

(2023年製作の映画)
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北野映画は『龍三と七人の子分たち』しか観たことなかったもんで、時代劇ならスルーでいっか〜と思ってたんですが、Xにて「邦画あるあるの手癖のような男性→女性の性加害シーンがない」という超有益な情報を得たため観て参りました。北野監督、ポストしてくれたどこかの知らない方、本当にありがとう。性犯罪者天国ニッポンで30年近く女やってるといろいろあるからな、そういうシーン出てくると心臓バクバクしちゃうからレーティング指定有のバイオレンス系邦画は正直怖かったんだ。全然安心して観れた。信頼の北野映画。こういう映画の方がお客さん入るんやったら、もうレイプシーンで注目集めようとすんのやめてくれはるやろうか。あいつらリアルさ出すために頑張ってるらしいけどどうせ演出してる奴らは未遂ですら被害者になったことないやろ?お前らの思うリアルってなに?AV?誰の何のためにやってるのか言ってみなよ、ねぇ?関係ない愚痴になっちゃったよ。

『龍三と〜』でどっかんどっかん笑わせてきてたから今回そういうのはなかったな、ちょっと寂しいなって感想だけど、一貫して武家社会というホモソーシャル、様式美(?)をバカにしてて愉快でした。死ぬほど擦られたネタだからこそ演出、新解釈がとても映えるし冴えてる。なぜ明智の野望があっけなく潰えたのか、なぜ秀吉が天下を取れたのか、納得のいく展開でした。ギャグを入れるし芸人を大事にしてるけどやりすぎない。でも合戦シーンはギャグにならないようにアホみたいな血ブシャー!とかはせずある程度シリアスに作り込んでて、こういうカジュアルな時代劇ならもっと観たい。若いお客さん(男女問わず!)が一人で来るくらいには広い世代にウケててほんと嬉しい。しっかり予算つけてもらえる監督だからってのはあるだろうけど画面の中で「明らかな創作」と「それっぽさ」がうまいこと融合していたように思います。