このレビューはネタバレを含みます
この映画は見るんじゃなかった。
視聴後の感想はこれだ。
こんな感想を持つことはわたしはほとんどない。超「駄」の付くコメディ映画くらいだろうか。
12歳を韓国で過ごすナヨン。彼女は、ヘソンに成績が負けて泣いてしまう「泣き虫」。いつしか二人は惹かれあい、恋焦がれるが、ナヨンは親の都合でカナダ・トロントへ移住することになってしまう。
24歳のナヨンは、劇作家を夢見てニューヨークへ移住していた。あるとき母親と電話をしていると、ヘソンの話題になり、ひょんなことからヘソンとオンライン上で再会する。しかし、ナヨンは夢を叶えるためにオンラインでの接触を断つことにする。ヘソンはがっかりする。
やがて、36歳になった二人は、ヘソンの休暇でニューヨークを訪れる時に再会することになる。ヘソンはナヨンに会いに行くためではない、と友人に言う。ナヨンは休暇だから来る、と夫・アーサーに言うが、アーサーはナヨンに会いに来るのではないか、と言う。果たして。
36歳のナヨンは、ニューヨ－クで家庭も仕事もそれなりのポジションにあり、不足は無い、と思っている。ところが、言葉のはしばしにはヘソンが「韓国的だ」ということが表される。これはわずかな表現だろうが、韓国への小さな憧れがにじみでる。別に韓国で暮らしたい、とかそういうことではないのだが、もしあのときに戻れるなら、という気持ちが見え隠れする瞬間である。もちろん、いまの夫・アーサーに不満はない。一方、アーサーがとても不安そうにしている、これはナヨンのそうした望郷、懐古を予測してのことだ。
さて、ヘソンはどんな気持ちでニューヨークへやってくるのか。
そして再会したヘソンとナヨンはどのように出会い、どのようにまた離れていくのか。
「イニョン」という話を、ナヨンが夫となる前のアーサーと話す場面が印象的だ。日本にも「袖すり合うも他生の縁」ということわざがあるが、このことわざとほぼ同じ謂われが韓国にもあり、その象徴的な単語が「イニョン＝縁」なのだ。アーサーがナヨンを口説く時に、観客一同はドキッとするだろう。ナヨンにとってのイニョンはほんとうにアーサーだったのか、と。
その結末がどうなるか見逃してはいけない。
この映画は見るんじゃなかった。
しかし、「駄」のつくようなコメディ映画ではないことを付け加えておく。
後悔したのは、恋をしたくなったからだ。あるいは、昔した恋を思い出して、もしかしたら、ワンチャンあるのでは、と思ってしまった。良くない。これは、精神衛生上よくない映画だ。でも、そんな気持ちを持ったまま生きていてもいいとも思う。
だって、きっと来世でどういう形かはわからないけど会えるから。
