はぐれけんきゅういん

別れる決心のはぐれけんきゅういんのレビュー・感想・評価

別れる決心(2022年製作の映画)
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だいぶ長い間「なーんか没入できないな〜」って眺めてるうちにだんだん「わっ…わぁ…!」って釘付けになっていった。語彙力!
加えて、韓国って近くて遠い国だなって思わされました。言語はもちろんのこと、歴史を知らないとここでいまいち「あぁ〜」ってなれないんだよ!って瞬間だらけだったので勉強します…
あとそんなに警察ガバガバかなぁ!?ってびっくりしたけど、まあそれないと話始まらないのと、これはラブロマンスなので。

終始すごく美しくて(ほんと画面がずっときれい、衣装も美術も劇伴も美しい、俳優さん方の色気が最高)、そして嫌なことに気づかされてしまう映画でした。ヘジュンの有能理系妻、私が目指せと言われてる先にいるのは彼女なんだ…!仕事で尊敬する上司・先輩たちの、プライベートに関する言動に「それ人としてどうなんや」と思ってた矢先のこの映画だったから余計に。本質的な思想まで資本主義に乗っ取られちゃだめなんすよ、我々人間は。
エビデンスに基づいた情報のみを信じ、「定期的なセックス」という「結果」がなければふたりの間の愛を信じられないから互いの生殖機能が「正常に」はたらくことを強制する妻。効率とコスパ、タイパを重要視する世界がたどり着く先を的確に捉えて批判してるなと感心してしまった。いや実際は理系だってロマンチスト(むしろ他人に夢見すぎだぜってくらいの)いっぱいおるねんけどな。

直接性行為を描いてるシーンのエロくなさと、がっつり服着て触れ合ってるだけのシーンのエロさの落差がすごかったですね。こんなに演者が厚着してて、なんならキスすらしてなくて、官能的な空間が作れるのだなと。