みやさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

みや

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ペパーミント・キャンディー 4Kレストア(1999年製作の映画)

4.0

キム・ヨンホという男の人生が巻き戻されていく映画。彼の人生をぶち壊した「道連れにしたい1人」(本人は絞れないと言っているが)は一体誰なのか。彼の20年分の走馬灯を共に観ながら考えさせられる仕掛けになっ>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.5


例えば、独立戦争の時に核兵器開発の技術があったとして、アメリカはイギリスに、またはイギリスはアメリカに原子爆弾を落としただろうか。
同様に、南北戦争の時に、核兵器開発競争をしていたとしたら、南部は北
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朝がくるとむなしくなる(2022年製作の映画)

4.5

「大丈夫大丈夫。あと何年生きると思ってんの」
同じ年頃の娘を持つ身として、上記の母親のセリフに救われた気持ちになった。娘からの思い詰めた告白があった時には、こうした受け答えができる自分でありたいが、ま
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ファースト・カウ(2019年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

ファーストシーンで発見される2体の並んだ人骨。現代が描かれているのは、このファーストシーンだけなのだが、これが後々とても重要になってくるという仕掛けがすごい。

直後、時代が1800年代に飛ぶのが唐突
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サンザシの樹の下で(2010年製作の映画)

5.0

主人公の静秋役のチョウ・ドンユィが、「少年の君」のヒロインだったことを後で知り、納得しました。とにかく、可憐で初々しい。
そして、孫役のショーン・ドウがまたいい!あの嫌味のない爽やかさ。
この奥手な2
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ニューヨーク・オールド・アパートメント(2020年製作の映画)

4.5

評判の良さを目にして、予告編も未視聴のまま鑑賞したので、のっけから衝撃を受けた。
自転車が車と衝突しても、車側から「傷がついたじゃない!」と怒られてしまう街なんですね、ニューヨークって。
公然と格差が
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燈火(ネオン)は消えず/消えゆく燈火(2022年製作の映画)

4.0

自分が香港を訪れたのは、イギリスからの返還を翌年に控えた1996年。その時の記憶から、香港には、今もネオンに彩られた風景が残っていると思いこんでいた。けれど、それから25年がたって、当然街並みも変わっ>>続きを読む

星くずの片隅で(2022年製作の映画)

5.0

2023.9.30劇場にて。
予告編でのヒロインの娘(ジュー)が口紅を塗るシーンの愛らしさに惹かれて鑑賞。そのような微笑ましいシーンやコミカルなシーンも交えながら、コロナ禍の香港の複雑な状況を、複雑な
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さよなら ほやマン(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

脳を無くしてその場で生き延びることを選択した「ほや」のように、島で生き続けているアキラ。
アキラの中には、津波の被害から船を守るための「沖出し」によって行方不明になった両親が今も生きている。頭では、も
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82年生まれ、キム・ジヨン(2019年製作の映画)

4.5

amazonにて視聴。原作も映画も気になっていたのにタイミングが合わず、やっと観ることができた。
舞台は韓国だけれど、まんま日本じゃん!というのが、序盤の感想。特に、今はまさに正月。長男の嫁と姑との関
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モガディシュ 脱出までの14日間(2021年製作の映画)

4.0

互いにアンフェアな方法を使って、相手を陥れようとする韓国と北朝鮮それぞれの大使館員たち。
まさかと思った内戦が勃発し、命の危険が迫っても、なかなか相容れない。
大使館が襲撃された後、「いざとなったら乗
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宇宙人のあいつ(2023年製作の映画)

3.0

Amazonプライムで鑑賞。
バナナマン日村、中村倫也、伊藤沙莉、柄本時生4人それぞれのキャラクターに乗っかって展開する、お気軽コメディ。
個人的には、山ちゃんの天の声がツボでした。日テレが制作に絡ん
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マルモイ ことばあつめ(2018年製作の映画)

4.5

「博士と狂人」や「舟を編む」などの作品同様、本作も「辞書」の編纂がストーリーの柱だったが、言葉を集めて意味を定義するという、「辞書」の持つ意味と重みを考えさせられた。
言葉は、文化そのもの。文字の読み
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12日の殺人(2022年製作の映画)

4.5


観終わって「何もかもがスッキリした!」というタイプの映画ではないので、好みの合う合わないは分かれる作品だとは思う。

生きたまま焼かれた少女。怨恨が疑われることから、彼女の異性関係が捜査対象になるが
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猟奇的な彼女(2001年製作の映画)

4.0

Amazonプライムの映画ラインナップを見ていたら、目に飛び込んできた懐かしいタイトル。
やたらと女の子がグーで殴ってた印象があったけど、どんな話だったかな?
なんか、胸の奥がぎゅっとした感覚があった
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JUNK HEAD(2017年製作の映画)

5.0

2021年の劇場公開時、TVの「激レアさん」でこの映画のことを知り、最寄りの映画館でまだやっていたので、滑り込みで観たのだが、つくり込んだ世界観に圧倒された。

配信で再鑑賞しても、思いは同じ。
出て
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ほかげ(2023年製作の映画)

3.5

ほかげ(火影)と聞くと、NARUTOのイメージが浮かんでしまう自分もどうだかなぁと思いながら、改めて意味を調べてみた。すると、「火の光、灯火」と「灯火に照らされてできる影」どちらも表しているらしい。な>>続きを読む

パリタクシー(2022年製作の映画)

4.5

「一年に地球3周も走るのに、楽しい思い出は、娘にせがまれて走ったイルミネーション輝くクリスマスのドライブの一回だけ」
タクシー運転手のシャルルの語る言葉のなんと重いことか。「タクシー運転手は自分に合っ
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あしたの少女(2022年製作の映画)

4.5

次第に追い詰められていく主人公のソヒの気持ちを、面と向かいながら、時には隣にいながら、誰一人聞くことが出来なかった。得てして、人は聞くことより、話して相手に変化をもたらそうとしてしまう。自戒を持ってそ>>続きを読む

愛にイナズマ(2023年製作の映画)

4.5

マウントを取って他者の価値観を完全否定するのが「論破」と呼ばれもてはやされる昨今。そんな香り漂う助監督の荒川やプロデューサーの原の人物造形にイライラしつつ、我慢してスクリーンを眺めていたところ、よもや>>続きを読む

ミツバチと私(2023年製作の映画)

4.0

映画の途中で、「クラスに女性器のある男子がいるよ」というセリフがサラッと出てくる。こういう言葉が、何の気負いもなく出てくるというのは、彼女をはじめとして、そのクラスやその学校では、そのクラスメイトの男>>続きを読む

ホームレスが中学生(2008年製作の映画)

4.0

ずっと観たかったのに、観られなかった作品と、配信で出会える幸せ。いい世の中になりました。

低予算で、撮影日数も短いと思われる作品ですが、心をギュッとつかまれるシーンがいくつもあります。

まず、出て
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ポトフ 美食家と料理人(2023年製作の映画)

4.0

途中の森の中での会食場面など、まるで印象派の画家たちがモチーフにしてきたような世界だなぁと思って観ていたら、どうやら、描かれている年代が19世紀後半ということで、そりゃそうかだった。

「料理界のナポ
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アトリエの春、昼下がりの裸婦(2014年製作の映画)

3.5

全身が麻痺していく難病のために、生きる希望を失っていた彫刻家が、妻が連れてきたモデルとの出会いをきっかけに、制作意欲を取り戻していく様子を、美しい風景と共に描き出していく一作。
彫刻家と妻とモデルとの
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福田村事件(2023年製作の映画)

3.5

水道橋博士演じる長谷川秀吉が、「村を守りたかっただけ」と言いながら、妻に抱きかかえられて涙するシーンのおぞましさ。
豊原功補演じるデモクラシーを語る村長が、「これからも村で生きていかなくては」と語りな
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リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)

4.0

「2分間ってこんなに長いんだ」「2分間なのに、こんなにバリエーションがにとんだことを思いつけるんだ」ということがしみじみ実感できる。
舞台になった貴船ふじやの風情が素晴らしい。撮影中の突然の大雪で、ヨ
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サマーフィルムにのって(2020年製作の映画)

5.0

大好きはいつまでもどこまでも残り続ける

「時をかけるな恋人たち」に出ていた伊藤万理華が主演で、「かぞかぞ」の河合優実や、「今夜すきやきだよ」のテーマソング歌ってた甲田まひるが出てるんだ…と思って見始
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1秒先の彼女(2020年製作の映画)

4.0

昨年「1秒先の彼」が劇場公開されていた時に、たまたま帰省していた娘と観にいった。クドカンらしい脚本で、面白いなぁと思っていたら、実はリメイクだと知り、帰ってすぐにHuluでこっちも鑑賞。
その時は「原
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不思議惑星キン・ザ・ザ(1986年製作の映画)

4.0

全くのSFながら、描かれている内容は、階級によって統治された国家と人種間差別のカリカチュア。そこに、道徳感、家族愛、同志としての友情の芽生え、虐げられたられた者のしたたかさ、ロシア人の誇りなどをブラン>>続きを読む

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章(2024年製作の映画)

4.5

面白かった!
原作未読。予告編を観て視聴を決めた作品だったが、当たりだった。

とにかく「幾田りら」と「あの」の声がキャラクターとバッチリ合っていて、世界観に引き込まれたことが大きい。

彼女たちを含
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宝くじの不時着 1等当選くじが飛んでいきました(2022年製作の映画)

4.5

気持ち良く笑える一本
たまたま最寄りの映画館で公開されていて、フォローしている方々の評価も高いので、鑑賞することにした作品。
期待通り、本当に気持ち良く笑える一本だった。
基本的にファンタジーでありな
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シークレット・サンシャイン(2007年製作の映画)

5.0

「あなたのため」の胡散臭さと「下世話」の温かさ

かけがえのない息子を殺した犯人が、「神から赦された」と穏やかな笑みを浮かべている姿を見て、平穏を保ち続けることのできる人間は、どれくらいいるのだろう。
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の方へ、流れる(2021年製作の映画)

3.5

そっちの方へ、流れたんかいっ(ビシッ)
思わず、声に出してツッコミを入れてしまいました。

唐田えりかびいきということもあるけれど、ファーストカットからとても好みで、環境音を大事にして余計な音を足さな
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(2022年製作の映画)

4.0

この映画を観終わったばかりは、自分の中では低かった評価が、1日経って色々と反芻している内に、どんどん高まってしまった不思議な映画。

はじめは「娘が“父”をどう理解して受け止めていくかという物語」かと
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火だるま槐多よ(2023年製作の映画)

2.0

今から30年近く前、信濃デッサン館で「尿する裸僧」を観た時の衝撃は忘れられない。
その村山槐多がどのように描かれるのか、とても楽しみに映画館に足を運んだ。

印象に残ったのは、洞窟内での血のりに塗れた
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ロブスター(2015年製作の映画)

2.5

「哀れなるものたち」「女王陛下のお気に入り」のヨルゴス・ランティモス監督作品ということで鑑賞したが、見事に撃沈。
まず、設定の突拍子なさをなんとかしたいと思って、「どういうこと???」と一生懸命考えて
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