ワンコさんの映画レビュー・感想・評価 - 57ページ目

リバーズ・エッジ(2018年製作の映画)

4.5

好きな女の子に連絡を取る時、父親が電話を取らないようにと願いながら固定電話をプッシュしていた時代の、その時代に描かれた、その時代のストーリーだ。

携帯電話やSNSが普及してなくたって、わけの分からな
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私の知らないわたしの素顔(2019年製作の映画)

4.0

曖昧な境界線
人は、3回嘘をつくと、それが真実のように思えてくるのだそうだ。
次第に曖昧になってゆくクレールとクララの境界線。
立ち止まったのは、ポンピドゥーセンターの外階段の最上階の行き止まり。
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帰郷(2019年製作の映画)

3.7

蝉が鳴いてなければ…
宇之吉は木曽福島に帰っていたのだろうか。

最近は、時代劇も、効率だとかバランスシートだとか現代に通じるところがテーマになったりして、ちょっと食傷気味だったので、藤沢周平作品、楽
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ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

5.0

子供の無垢な心が、残酷さや優しさを交えて寓話のように語られる。
第二次世界大戦をモチーフに、ジョジョの目を通して、戦争の馬鹿馬鹿しさや、大人の愚かさ、悲劇が語られる。
しかし、これは、現代の私達にも繋
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盗まれたカラヴァッジョ(2018年製作の映画)

5.0

【真実と嘘が揺らめく】

真実の中に嘘を散りばめたらどうなるだろうか。

真実がより際立つのか。
いや、嘘が真実の背後に隠れるのではないのか。

嘘の中に真実を散りばめたらどうなるだろうか。

嘘が嘘
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イエスタデイ(2019年製作の映画)

5.0

【イエスタディ、トゥデイ、そして、Life goes on.】

高校時代、ビートルズを語り合った友人が、双極性障害がひどくなって、学校を辞めて、家族の意向もあって、もう会うこともなくなった。

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イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり(2019年製作の映画)

4.5

娯楽としてではなく、学問として
「娯楽としてではなく、学問として語り継いで欲しい」
このメッセージは、あそこに居合わせた者達だけではなく、僕達に向けられたものでもあるように思う。

世界的リスクコンサ
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エンド・オブ・ステイツ(2019年製作の映画)

4.0

荒唐無稽だけど…
まあ、荒唐無稽な話なんだけど、迫力満点だった。
ある意味、新作のターミネーターより良いかも(笑)。
でも、ツッコミどころは満載で、G20でプーチンの隣にモーガン・フリーマンはいただけ
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失くした体(2019年製作の映画)

4.4

ガープの世界
ガープの世界は、映画で初めて知って、その後、本を読んでみた。村上春樹さんが、熊を放つを翻訳してるので、作家のジョン・アーヴィングを知ってる人は多いのではないかと思う。
物語は、映画を観る
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テルアビブ・オン・ファイア(2018年製作の映画)

4.5

パリ、ローマ、東京
「パリ、ローマ、東京。どこでも行けるんだ」
「でも、ここで育って、家族もいて、仕事もある。ここにいたいの」
「じゃあ、ここにいよう」
サラームが、マリアムに向けて練りに練った最大、
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EXIT(2019年製作の映画)

4.5

楽しめるパニック映画
どうやって助かったか、エンドロールのところも観て下さい。
うるさい家族、言うことを聞かない連中、騒ぎ立てるだけの役立たず、ずるい奴、安普請の外灯やライオンの牙、この手の映画にあり
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海抜(2018年製作の映画)

3.5

葛藤
もしかしたら、こんなことは世の中に結構起きているんじゃないかと思わせるような事件をベースに、その後のそれぞれについてはイメージを膨らませてストーリーを紡いだのではないか。
それぞれの葛藤も、正解
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わたしは光をにぎっている(2019年製作の映画)

4.5

僕たちの日常
僕は、電線の向こうにのぞく青空が好きだ
電線の向こうの青空が無限に広がってるようだ
そして、
電線と青空のコントラストが好きだ
電線があちこちに張り巡らされ、人と人を結んでるようだ
人の
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国家が破産する日(2018年製作の映画)

4.5

【繰り返される歴史に向けて】

韓国の現在の外貨準備は約4000億ドルに達し、この映画の当時の35億ドルと比べたら雲泥の差だし、IMFからの緊急融資の200億ドルも遥かに凌ぐ水準となった。

そういう
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ドクター・スリープ(2019年製作の映画)

4.0

オマージュと決着
スタンリー・キューブリックの映画「シャイニング」が、これほど原作者スティーブン・キングを悩ませたのかと…。

僕は、映画シャイニングを初めて観た時、こんな怖い映画があったのかと、友人
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ゾンビランド:ダブルタップ(2019年製作の映画)

4.0

Hasta la vista, baby.(地獄で会おうぜ、ベイビー)
これ、T2の決め台詞。
ターミネーター・ニュー・フェイトで使われなくて、残念に思ってだけど、ここで出てくるとは!
それも、何度も
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THE INFORMER/三秒間の死角(2019年製作の映画)

4.3

それぞれの執念
功績目的なのか、犯罪撲滅が目的なのか実は不明な計画。
シナリオ通りに進まない詰めの捜査。
保身のための非情さの要求。
本当の正義とは何か。

前半から中盤までの寡黙さを伴う場面から、一
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シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション(2018年製作の映画)

4.0

明るくハレンチ、だけど、複雑
昔、学校でシティハンター読んで盛り上がってると、女子が、
「スケベ」とか、
「イヤらしい」とか、
「エロい」とか、場合によっては、
「先生に言いつける」とか、
散々な言わ
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読まれなかった小説(2018年製作の映画)

4.5

井戸のなか
最近、父の七回忌を済ませた。
なかなか、共通の価値観を見出せず、二人には軋轢も多かったような気がする。
お互いの、心ない言葉で傷付けあったこともあるが、それも、もう思い出だ。
ただ、今は位
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ルパン三世 THE FIRST(2019年製作の映画)

4.2

The First
ガキの頃、オープニング・テーマを、
「ルパンだぞ〜っ!」
って歌ってたら、従姉妹に、それは、
「ルパン・ザ ・サード」
だって、教えてもらったことがある。
ルパンのシリーズを観る度
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T-34 レジェンド・オブ・ウォー(2018年製作の映画)

4.0

独ソ戦
独ソ戦の死者は、戦死者だけではなく、民間人を含めて虐待や飢餓によるものもいれて、全体で数千万人に及ぶと言われています。
映画で描かれている捕虜を使った演習訓練など、条約上も決して赦されるはずも
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バグダッド・カフェ<ニュー・ディレクターズ・カット版>(1987年製作の映画)

5.0

今また、観るべき
この寓話のような世界観、多くのファンがいる作品だと思う。
改めて観て、おそらく、今また観るべき映画なのではないかと思った。

二つの光の片方は映った光だ。
ブーメランは、戻ってくる。
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気候戦士 ~クライメート・ウォーリアーズ~(2018年製作の映画)

4.1

持続可能であること
果たして地球は、人間活動によって温暖化してるのだろうか。
地球は、太陽活動の低下や相次ぐ火山の大噴火で、17世紀半ばから19世紀まで寒冷化したと言われている。
そして、今の温暖化は
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ある女優の不在(2018年製作の映画)

3.5

女性のこと
変わりばえのしない乾いた風景のなかで、イランの女性の置かれた状況とか、おそらく日本でも似たようなことがあったんじゃないかと思わせる因習が語られる。

感情をぶつけ合うように繰り返される会話
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ぼくらの7日間戦争(2019年製作の映画)

3.5

秘密基地
昔、親戚のお寺の裏は、山の一部を造成した公園になってて、さらに、その奥に踏み入ると藪だらけで鬱蒼としてて、大人なんか絶対にくるような場所じゃなかった。

そんな場所に、簡単な板張りのちっさな
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ジュマンジ/ネクスト・レベル(2019年製作の映画)

4.0

おおっ、マイロ〜!
皆さん、良いお年寄りは大切にしましょう
あと、ゲームやSNSばっかりやってないで、たまには外に出て、みんなで食事でもしましょう。
ジュマンジ・ワールド炸裂で楽しませてもらいましたけ
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2人のローマ教皇(2019年製作の映画)

5.0

信仰のジレンマ、無力感、告解、沈黙、そして…その先
多分、あまり注目されてない映画のように思うが、予想以上、期待以上の物語だった。
僕の表現力不足で、上手いキャッチも見つからないが、まず、ベネディクト
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カツベン!(2019年製作の映画)

4.0

ノスタルジックな喜劇
昔、映画館でサイレント映画を観たことがある。
月世界旅行とか、カリガリ博士とか、チャップリンのキッドとか、戦艦ポチョムキンとか結構、映画史に残るような有名な作品で、少し退屈なとこ
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ハルカの陶(2019年製作の映画)

4.0

用の器
地球に土が誕生したのは約5億年から4億5千万年前と言われています。
それまで、地球はゴツゴツした岩石の惑星でした。
今は、土で覆われてるように感じがちですが、実は、土がどうして出来たかは、まだ
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スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け(2019年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

レイアの祈り
SWシリーズに一貫して描かれるのは、家族の葛藤の物語と、力を持った者の怒りや、暴力的な衝動との向き合い方だ。

ただ、このエピソード7から9については、レイアの祈りが中心だと思う。
ベン
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だれもが愛しいチャンピオン(2018年製作の映画)

5.0

案ずるより産むが易し
田舎で小さい会社を経営してる僕の友人が、最近、あることでたまに連絡してくる。
発達障害の従業員を雇ったというのだ。

それで、その日常の工夫を説明してくれる。
彼は、昔、雇ってい
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男はつらいよ お帰り 寅さん(2019年製作の映画)

4.5

お兄ちゃん!
さくらが、寅さんを見送る場面が、いつも泣けるのは僕だけだろうか?
どうせ、帰ってくるんだから…と思いつつも、泣ける。

「風に向かって、おれの名前を呼べ」
ん?そしたら、風に流されて、お
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この世界の(さらにいくつもの)片隅に(2019年製作の映画)

5.0

【もうひとつの片隅と、世界のその先の未来】

もうひとつの白木リンの長めのエピソードが加わって、物語の厚みが増したように感じる。

世界の片隅は、それぞれ、世界の中心でもある。

亡くなった人は戻って
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シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢(2018年製作の映画)

4.0

【理想宮とは】

シュバルの理想としたものは調和だったのだと思う。

あるがままの自然と対話し、文化とか、宗教とか、東洋的とか西洋的とか、古代とか近代とか、そうしたものを超えて…、そして、人が集う…、
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テッド・バンディ(2019年製作の映画)

4.5

もし
もし、デッド・バンディが、死刑を前にして、殺人の詳細を自白しなければ、フロリダの有罪となった事件でさえ、今も冤罪の可能性が取り沙汰されていたのかもしれないと思わせる。
映画で描かれるテッドの為人
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フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)

4.5

今宮純さん
このフォードがル・マンで躍動する物語は、先般ご逝去されたモーター・ジャーナリストの今宮純さんが、高校生の頃のことだと思う。
きっと、血湧き肉踊ったのだろうなと想像してしまう。

この映画、
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