芋さんの映画レビュー・感想・評価

芋

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猿の惑星/キングダム(2024年製作の映画)

4.1

冒頭の神秘的で生命力溢れる映像表現で一気に引き込まれる
他者との関わりによって己を見つめ直すノアの人柄(猿柄?)が魅力的。逆に人間は私利私欲のために他者を利用しており、その対比が本作に何とも言えない後
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ゴーストバスターズ(2016年製作の映画)

4.2

ゴーストバスターズという組織のネームバリューを守るための絆ではなく、同志だからこそ連帯しているチームの雰囲気が好き。
出てくる女性みんなかっこいいけど下ネタ言いまくるところや、全然仕事しないけどマスコ
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赤と白とロイヤルブルー(2023年製作の映画)

4.0

去り際に微笑んだり、さりげなく肩組んできたり、おやすみの言い方が激甘だったり、アレックスの人を狂わせる男の解像度が高すぎる。切実にアレックスみたいな大型犬タイプの男に愛されたい…

アウティングの問題
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パラダイスの夕暮れ(1986年製作の映画)

3.8

スーパーで恋に落ちる瞬間なんてなかなか無い。だけど劇的なものって実は凡庸の中に沢山転がっているのかもしれない

世界共通の華やかなアパレルショップや高級レストランよりも、退屈なビンゴ屋とか平べったい黒
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劇場版 きのう何食べた?(2021年製作の映画)

4.0

同性カップルが直面する困難をシーズン1よりも踏み込みつつも、日常のささやかな煌めきは不変で安心する。出た料理に美味しいって言葉にすることの大切さ。同性愛を悲劇的ないし過度に美しく描かない作風が非常に好>>続きを読む

マティアス&マキシム(2019年製作の映画)

3.7

同性同士であるが故に言えなかった想いが沢山ある。映画撮る前からずっと好きだったんだね
窓越しのキスシーンが良すぎた。ヘテロのロマンス作品であんなに官能的な映像は撮れるだろうか

マイ・ブロークン・マリコ(2022年製作の映画)

3.5

アンタしかいないんだよ、アンタは何も悪く無い、って言ってくれる存在がいるだけで生を肯定できるのかもしれない。もの凄く辛い物語なのに、なぜかずっと救われている気持ちになった

天国にちがいない(2019年製作の映画)

3.7

公開当時はよく分からなかったけど、今見るとパレスチナ問題のメタファーが至るところに存在することに気付く。パレスチナの名産品であるレモンを間引く隣人の姿は、現在のイスラエルのジェノサイドと重なり戦慄する>>続きを読む

オールド・ジョイ(2006年製作の映画)

3.6

ドライブのシーンに見惚れる。どこにでもあるような風景に宿る美しさと恐ろしさを克く捉えているのが凄い
BL脳なので、ファーストカウに続き、どうしてもBLリーディングしてしまう。カートがヒッピー生活で得ら
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ムーンライト(2016年製作の映画)

4.5

オカマとはゲイを不愉快にさせる言葉だ、という当事者性の高い台詞が凄く良かった。
3つのパートを描くことで、同性愛を取り巻く時代の変化が浮かび上がっていく構成が見事。ただこれは同性愛者が比較的権利を獲得
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TOVE/トーベ(2020年製作の映画)

3.9

ちゃんとムーミンの作者の映画だし、トーベヤンソンがムーミンを生み出したことが分かる映画だった、っていう小泉構文みたいなことしか言えない
ムーミンへの言及は最小限に抑えられているにも関わらず、トーベの半
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ロブスター(2015年製作の映画)

3.8

離婚も結婚もしづらい、かといって独身であることも許されない世界。今の日本を極めた未来のように思えて戦慄する

捕獲すれば日数が増えるシステムって資本主義でしかないし、実践セミナーを通してジェンダーロー
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行き止まりの世界に生まれて(2018年製作の映画)

4.0

無料のセラピーみたい、という言葉の破壊力。キアーとビン監督が共鳴した瞬間に感動する
ドキュメンタリーはどうしても撮られる側に負担が行くものだが、本作は出演者と監督の信頼関係がベースにあるため暴力性が限
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マルセル 靴をはいた小さな貝(2021年製作の映画)

3.9

どうやって撮影してるのか気になる。細かい仕草や物音からリアルな生活の温度が伝わってくる
ディーンが撮影するだけで手を貸さない場面や、マルセルの生活をコンテンツ化するシークエンスには暴力性を感じた
マキ
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ソウルフル・ワールド(2020年製作の映画)

4.3

ジョーと22番の世界が交差したことで、夢と現実に折り合いをつけて音楽の講師をしていたジョーは舞台に立つことに固執し、22番は虚無から脱却し複雑な世界の美しさを知る。

人生は選択の連続であり、選ばなか
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異人たち(2023年製作の映画)

4.4

原作未読で鑑賞

パートナーのいない孤独でクローゼットなゲイ男性アダムが、両親の再会と恋仲のハリーとの出会いによって過去の傷と向き合う物語。

ハリーの誘惑が、本気か冗談かよく分からないから誘いに乗ら
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.1

裁く人と裁かれる人が明確になり、矢継ぎ早に詰問され言質をとられる現象は何も裁判だけでなく、日常会話でも発生する。非対称な関係性において、強者側が会話を思惑通りにコントロールし、対等であるように見せて実>>続きを読む

TAR/ター(2022年製作の映画)

-

天才指揮者ターの栄光と没落を描写するモキュメンタリー的な内容かと思いきや、突如音嫌悪症に悩まされる人の日常をサスペンス・スリラー演出で描写する展開が巻き起こり度肝を抜かれる。一つのジャンルに囚われない>>続きを読む

アナザーラウンド(2020年製作の映画)

3.4

家族にとっては最悪なんだけど、出てくるおじさんみんな可愛く見えてくるから結構イヤ。かなり慈愛に満ちた描かれ方だと思う
人が死ぬ割にはそれが上手く作用してない感じが残念。下戸だからいまいち乗りきれなくて
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アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

4.3

モンクとシンタラの論理バトルが機知に富んでいて楽しい。現代的なテーマでありながら軽快なジャズとユーモラスな登場人物のおかげで全体的に柔らかな空気が漂っている。あと、絶対にここで終わるんだろうなって場面>>続きを読む

ボトムス ~最底で最強?な私たち~(2023年製作の映画)

3.9

マッチョ映画の代表作ファイトクラブのレズビアン版って時点で既に最高。めっちゃ殴るし、剣で刺されて思いっきり貫通してる人もいて地味にグロいけど、あまりにも超越したカオスな内容なので笑ってしまう
ステレオ
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コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)

4.1

コットの心はとてつもなく繊細かつ過敏であるが故、周囲の言葉や視線によってすぐに閉ざされてしまう。家や学校の場面の彩度の低さはコットから見えている閉塞的な世界をそのまま映し出しているが、親戚夫婦との暮ら>>続きを読む

Saltburn(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

劇場で観られないのが意味分かんないくらい、徹底した画作りと緊迫した場面を支配するビリビリとした厭な重低音が良すぎる
フェリックスの言動の随所に障害萌え又は他人のカタルシスフェチみたいな軽薄さがある。ソ
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オーメン:ザ・ファースト(2024年製作の映画)

3.8

恐怖演出の手数が多くて興奮しまくり。モザイク多量で若干おもしろい映像になっている部分もこれはこれで良い?
タバコ吸いながらトランポリンで跳躍するシスターが出てきた時点で、これは良い映画だと確信した
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アイアンクロー(2023年製作の映画)

4.1

兄弟の中で唯一プロレスから距離を置いていたマイクが、半強制的に、あっけなく試合に参加させられる姿が哀しい。名前の呼び順で重要度を計る感じや、団欒でマイクだけ蚊帳の外にされてる感じがリアル。音楽をきっか>>続きを読む

テルマ&ルイーズ 4K(1991年製作の映画)

4.2

痛快でエネルギッシュなロードムービーでありつつ、どこか仄暗さが漂っていて辛い。終盤はずっと泣いてた
バカンス中に犯罪を積み重ね、どんどん袋小路に入り込むテルマとルイーズ。常に間違った選択をしているよう
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ゴーストバスターズ/フローズン・サマー(2024年製作の映画)

3.3

エイシズムと職業差別への批判的な視点はあるが、何かとっちらかってる気がする…
フィービーは義務感で働いているようなものなので、ゲイリーやキャリーにはもうちょっと頑張ってほしかった
ファイアーマスターの
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インフィニティ・プール(2023年製作の映画)

3.7

ジェームズのマゾヒスティックな一面が露になっていく妙にエロいホラー映画。色男が女性に罵詈雑言を浴びせられたり、犬を演じたりしているので、そういうのが好きな人は是非…
リゾート地の住民を見下したセレブの
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パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

4.2

表情は言葉以上に雄弁に物語る瞬間がある。再会のシークエンスで多用される片方の顔だけを映す演出は、相手への感情の深淵がものすごく伝わってくる。感慨が頂点に達し、唸るしかできない再会の瞬間が良すぎる

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不安は魂を食いつくす/不安と魂(1974年製作の映画)

4.0

しょうもない虚栄心で、簡単に人を傷つけ差別できる人達の醜さが克明に映し出されている。旅行後のエミが周囲の偏見を内面化した姿が辛いが、コロッと態度を変えた様は冷ややかに描写されており、そこには多少の救い>>続きを読む

マリア・ブラウンの結婚(1978年製作の映画)

3.8

マリアブラウンは俗に言う、わきまえない女ってやつなのかな。誰のものにもならず、誰にも主導権を渡さず、マリアブラウンという一人の人間として生きることを貫いた姿が眩しい
ニュース・実況の音声と場面が連動す
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.0

音と光の演出に一気に引き込まれ、それらのスペクタクルによって原爆がもたらす凄惨さは感覚的に表現されるが、本作における圧倒的な見せ場として差し出されると拒否反応を示したくなる

マンハッタン計画が進むう
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天使の影(1976年製作の映画)

3.5

何を言っているのか分かるようで分からないような観念的な台詞が連続するが、徐々に全体主義と資本主義に対する批判的なメッセージが浮かび上っていく
別れてからの娼婦とヒモ男のほうが魅力的に映る。己の魂だけは
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あの夏のルカ(2021年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

めちゃくちゃ泣いたしめちゃくちゃ刺さった
主人公の二人がこれから辛い目に遭うのが最初から予想できるのでハラハラしながら観ていた。人間社会で自分たちは差別を受ける存在なのだと随所で気付かされる描写が辛か
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熱のあとに(2023年製作の映画)

3.8

磨りガラス越しの橋本愛、ルームミラーに映る橋本愛…とにかく画がキマっているし全体的に凄く不穏な空気が漂っている。橋本愛はホラー向き
湖のボートからのきらきら星の一連のシークエンス最悪すぎる。あんな禍々
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