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コット、はじまりの夏の芋のレビュー・感想・評価

コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)
4.1
コットの心はとてつもなく繊細かつ過敏であるが故、周囲の言葉や視線によってすぐに閉ざされてしまう。家や学校の場面の彩度の低さはコットから見えている閉塞的な世界をそのまま映し出しているが、親戚夫婦との暮らしの中で徐々に視界が開け、彩度が高まっていく対比が凄い
アイリンが食事・排泄・衛生のケアを行い、まさに理想的な母親像かと思いきや、近所にコットを預けてしまう部分がありその完璧でない一面も描かれているのがよかった。コットが疎外される一番の要因である寡黙さを肯定したショーンの姿は、まさにあるべき大人の姿だった。思い切り甘やかされ、ありのままの存在をみとめられる瞬間が子供には絶対必要なんだと再認識した
アイリンとショーンがコットとの関わりによって抱えていた喪失の傷を少しずつ回復させていく過程も描かれており、大人と子供は相互に影響を与えるのだと感じた。コットの感情の発露を見た父親は何を思うのだろうか。あの粗野な父親には正直あんまり期待できない
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