まぬままおまさんの映画レビュー・感想・評価

まぬままおま

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ヤンヤン 夏の想い出(2000年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

エドワード・ヤンの映画をみていると、自分でも映画が撮れてしまうのではないかと思ってしまう。本作はヤンヤンの親類の結婚式から祖母の葬式までに至る夏の思い出を、群像劇として描いているだけだから。

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エドワード・ヤンの恋愛時代(1994年製作の映画)

5.0

GWに3回目をみる。
対面すると人間関係に事故が起きるのは、エドワード・ヤンの鉄則だと改めて認識。

牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版(1991年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

「一つになれないなら、せめて二つだけでいよう」

と言ったのはクリープハイプであり同名タイトルのアルバムがあるのだが、私が本作の彼らと同様に高校生だった頃はよく聴いていた。

高校生の彼らは一
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年に一度の再会(2015年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

ブリリア短編。

何で墓でピーターパンの劇をやるねんと思ってしまいましたが、そういうことなんですね。
喪の痛みを和らげることでも、残された者の紐帯を取り結ぶためでもある。

また墓参りとは、
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Curve(原題)(2016年製作の映画)

3.0

ブリリア短編。

舞台装置の素晴らしさよ。どうやってつくったんだ…

と同時に役者の演技が素晴らしいんです。
クロース・アップに耐えうる演技。

これは発見でありつつ当たり前なんですが、
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走れない人の走り方(2023年製作の映画)

-

蘇鈺淳監督・団塚唯我出演作品。

日常を移動しているだけでロードムービーは完成できることを軽やかに語ってみせる本作。それも物語世界における虚構/現実の完成度の高さと往復が巧みだからであろう。

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夢見びと(2021年製作の映画)

-

邦画のミュージカル映画!!!
そしてまさかの主人公・マサがメインの楽曲が存在しない!!!
インディーズ映画ならではの尖りぐあい!!!

でも歌唱・ダンスパートはさすがなんです。ミュージカルで多
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デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章(2024年製作の映画)

-

ででででーん。

後章をみたあとに語るべきことがあれば記述しようかなと思う。

何か雑誌をみている感覚だった。

ミスミソウ(2017年製作の映画)

3.8

献身の快/不快。

こわいです。

何もない街で心が躍る行為が暴力であることの不条理さ、絶望の底の深さは当事者にしか分からないと思う。ゴミが捨てられるあの穴よりももっともっと深い。

だか
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辰巳(2023年製作の映画)

3.8

暴力と愛は紙一重。

久しぶりに邦画のノワール作品をみた。私はすぐに消されてしまうような世界線だった。

暴力を働くとき、どうしても人と人は接近しなくてはいけない。銃の射程の距離、ナイフで刺す
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悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.5

侵入者≒「他者」の受容と拒絶。

石橋英子さんから濱口監督へライブパフォーマンス用映像の制作依頼がきっかけでつくられた本作。映像イメージの使用のみを想定してか、1ショットでのカメラワークや劇が実験
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幸福な結婚記念日(1962年製作の映画)

4.0

ピエール・エテックス、ジャン=クロード・カリエール共同監督。

コメディーとはかくあるべきだし、このようにつくるべきだと感心した。

とにかく動く、アクションを積み重ねる。リズムよく笑いの連鎖
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破局(1961年製作の映画)

3.0

ピエール・エテックス、ジャン=クロード・カリエール共同監督。

芸の多さよ。

恋人に別れの手紙を書く、ただそれだけの出来事なのにこんなにもトラブルの種はあるのかと笑ってしまった。

ラス
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僕の恋とVHSテープ(2022年製作の映画)

-

このレビューはネタバレを含みます

ブリリア短編。

冒頭30秒ぐらいは変なテンポ感で逆に面白いと思ったが、ジェンダー構造の不平等さと性差別が滲み出てて無理だった。80年代という時代設定だったらいいんですかね。コメディーの構造で無意
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カリガリ博士(1920年製作の映画)

4.0

ロベルト・ウイーネのドイツ表現主義映画。

ドイツ表現主義とは何たるかはまだ勉強中ですが、舞台装置が特徴的だ。
舞台に引かれる曲線や四角ではない扉、うねる家などとても面白い。

そして本作は
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霧の淵(2023年製作の映画)

3.8

村瀬大智監督作品。
本作の上映は、「永遠じゃない」し、在ったことをなかったことにしないためにも、一見してほしい作品ではある。

奈良県の川上村を舞台に旅館屋の12歳の娘・イヒカが祖父・シゲの記憶
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ひかりの歌(2017年製作の映画)

4.2

朝ごはんにカツ食べる活力ある生にしてきみに泣きたい

返歌を詠みたくなりますね。

別の仕方の人と人との繋がり。住む世界が違うように思えても、思いがけない出来事で関係できる。その新鮮さに感動し
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イアゴとトリスタン(2022年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

ブリリア短編。

全てがイメージに還元されるならこんな「魂」の現れ方もありなのかもしれない。

ふっと登場することは同居人であるからあり得ると思いつつ、そこから既に霊としての演出がされているの
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ミッシング(2024年製作の映画)

-

揺れる。

「お母さんのせいで私は殺されたの」
「お母さんのおかげで私はみつけられた」

そんな罪も赦しも与えられないのが、行方不明事件が未解決であるという事態なんだと思う。

娘の美羽が
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救ひを求むる人々(1925年製作の映画)

4.0

ジョセフ・フォン・スタンバーグ監督作品。

世界ではじめての「思想を持った映画」。
それを知ったのも岩崎昶の『現代映画芸術』の記述(p.152-154)からなのだが、映画史において重要な作品であ
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フォロウィング 25周年/HDレストア版(1998年製作の映画)

4.0

これにてノーラン祭り閉幕です。最後が長編デビュー作であり時間の「逆行」が生じていますが、主要作品を全部みることでエッセンスは感じ取れたのではないかと思います。コメントでノーラン作品の全体に対する所感を>>続きを読む

Tarantella(原題)(1989年製作の映画)

3.0

ノーランは初期から気持ち悪いものを撮っているな~~~最高だ。

寝ている男がいる。彼がうなされているのは、タランチュラの夢をみているからであって、それを私たち観賞者はみている、とひとまず言うことは
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Doodlebug(1997年製作の映画)

5.0

これは素晴らしい。ノーラン作品の中で一番衝撃を受けている。

虚構と現実の見境のなさ、閉塞感や死に対する不条理さといった後のノーラン作品に通底するものが3分に凝縮されている。

ノーランはいつ
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インソムニア(2002年製作の映画)

4.0

脚本はヒラリー・サイツだが、ノーラン作品に通底する要素はある。

それこそ「人間不信」と事件の物語化だ。

以下、ネタバレ含みます。

アラスカで発生した女子高校生殺人事件。その事件を追う
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ダークナイト ライジング(2012年製作の映画)

4.0

「フロアの床には奈落が映し出されていた。そこに落ちたら無限に落下していきそうな闇だ。若者たちはその上空の虚無で踊っている」(p.172,伊藤計劃『虐殺器官』)

現代の的確な描写としてとても好きな
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ダークナイト(2008年製作の映画)

4.1

病院の爆破シーンがなんか既視感あったけど、ちゃんと拝見。
ジョーカーが最狂すぎた。

本作も「身代わり」が描かれているが、さらにコインの裏表も象徴的だ。善悪の裏表、バットマンと検事のデントの裏表
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バットマン ビギンズ(2005年製作の映画)

4.0

スケアクロウ≒身代わり

『ダークナイト トリロジー』において、重要な概念は「身代わり」なのかもしれない。もはやヒーローが善なる存在として正義を行使することは終わったし、無効だ。だからヒーローにも
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ロベルタのリビングルーム(2018年製作の映画)

-

ブリリア短編。

どんでん返しを期待していましたが、これ如何に…
ハッピーエンドかバットエンドかも分からないし、コメディーとしてみていいのかも分からない。毎日がハッピーとか困るし、頭がハッピーと
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毒娘(2024年製作の映画)

4.0

切り分けられるケーキ・ピザ・家族・口。

カメラをどこに置くかにこだわりを感じてとても面白かった。
例えば、萩乃と夫と娘の萌花の食事シーンを窓の外から撮っているものが2つある。
1つ目は窓枠に
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去年マリエンバートで(1961年製作の映画)

4.0

アラン・レネ監督、アラン・ロブ=グリエ脚本作品。

映画史において決定的に重要な作品であることを岩崎昶の『現代映画芸術』で知る。もう45年ぐらい前の本だから、現代でもないがみるべき作品ではある。し
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ペナルティループ(2024年製作の映画)

2.0

このレビューはネタバレを含みます

びっくりするぐらい面白くなかった!!!

このつまらなさは作為なんです、とか仮に言われてもそれは単に物語の杜撰さでしかないと思う。

予告とか宣伝とか見る限り、恋人を殺された被害者の男が加害者
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静かに燃えて(2022年製作の映画)

4.2

小林豊規監督作品。

本作は、犬童一心監督の盟友である小林監督の長編デビュー作であり、急逝したため遺作でもある。しかも還暦を超えてのデビュー作。人生の厚みを感じる。

そして本当に素晴らしい。
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家政婦と少年(2020年製作の映画)

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ブリリア短編。製作国がタイの作品は久しぶり。

ポン・ジュノの『パラサイト』のように、上流階級の家族/家が舞台で構図の美しさが目に留まる。もちろん本作も生活のきらびやかさより、上流階級の息子と彼ら
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14歳の栞(2021年製作の映画)

-

このレビューはネタバレを含みます

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「誰かが孤独になりたいとしたら、死んだ(デッド)メディアに頼るのがいちばんなの。メディアと、わたしと、ふたりっきり」
とミァハは答えた。あの冷たくなめらかで、ヒトを眠りに誘うような声でさら
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.2

衝撃は遅れる。

ノーランの過去作を数本みておいてよかったと思う。それも本作がサイエンスを扱っているから『インターステラー』、セリフでオッペンハイマーが登場するから『TENET』だけでは本作の満足
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