タルコフスキーの『サクリファイス』なんですね。シャマランとタルコフスキー。何だか不思議と納得できる組み合わせです。
相変わらず画作りが巧みなので、トンデモ設定にも耐え得る説得力があります。どんなに突>>続きを読む
大仰なことをしているわりには、引っ掛かりのない映画でした。
物語がシナリオどおりにつつがなく進行し、製作費に見合ったそれなりに手の込んだようにみえる映像で、綺麗にまとまっている印象だけは受けました。>>続きを読む
今まで観た濱口作品の中で、最もカメラの存在を意識させる映画でした。
バイオリンとチェロの低い音色が響く中、森の木々を見上げる長い移動ショットで映画が始まります。その些か長すぎる導入の件には、カメラの>>続きを読む
本作に限ったことではありませんが、濱口映画は本当に言葉がよく聞こえます。俳優の発する台詞がすーっと頭に入ってきて、気づけば夢中になって彼らのやり取りに耳をそばだてているのです。
それは、あらゆる現場>>続きを読む
まさに、エドガルドの数奇な運命を我々は固唾を飲んで見つめることになります。
夜の闇を蠢く人影や、部屋の陰の薄暗がりに浮かび上がる登場人物たちの表情を捉えるカメラは、思いのほか動的な魅力に溢れており、>>続きを読む
もうクラウス・キンスキーが出てるだけで不気味というか…。何やら邪なことをしているに違いないと思わざるを得ません。挙句の果てに、あんなことになってしまうもんだから…顔が怖いんですよ。
ジャンルとしてはS>>続きを読む
良質な映画です。
物語を構成する要素は多いと思いますが、それらを無理なく映画のフォーマットに落とし込み、程良いサスペンスで観客の興味を引き付けながら、映画外の時間を想像させる余白を持たせています。>>続きを読む
些か退屈な序盤から中盤の展開が嘘のように、終盤は畳み掛けるように怒涛のパフォーマンスが繰り広げられます。
正直、この圧巻のクライマックスは偏に演者の力量によるところが殆どのような気もしますが、やはり単>>続きを読む
映画が始まると、いきなりどす黒い焼死体が映し出され、思わずギョッとしてしまいました。
深作欣二のカメラによる運動性と千葉真一の肉体による運動性が画面上を目まぐるしく交錯します。
念入りなリハーサルを>>続きを読む
【再鑑賞】
湖に浮かぶ一艘の小舟の上で身を寄せ合う男女。鬱蒼とした林で繰り広げられる大立ち回り。日本的な舞台装置と衣装から生まれるしなやかな所作。
そのどれもが、もうこれしかないという的確なショット>>続きを読む
主題の示し方も、物語の筋立ても、登場人物たちの行動原理も、しごく健全な映画だと思いました。
メインビジュアルやおよそ映画の題材には馴染みのなさそうなタイトルから、勝手にダークで猟奇的な内容を想像してい>>続きを読む
中盤以後、自分とは違う人間のことを認めろだの、あなたと私はわかり合えるだの、同じことを何度も繰り返す展開には少し辟易しました。
スローモーションで描写される水の飛沫も気に入ってるのか何なのか知りませ>>続きを読む
ランプシェード越しの仄かな光に浮かび上がる艷やかな美術、光と影のあわいを滑らかに移ろう耽美なカメラワーク。
視覚の栄養とでも呼べばいいでしょうか。スクリーンを見つめる我々の瞳を、瑞々しい何かが潤してい>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
軍服に身を包んだアウグストが、マントを翻しながら空を飛ぶ姿は、いかにもワイヤーで吊ったような素朴な格好でありながら、画面から重力が排除されたかのような独特な浮遊感を纏っています。
何だか、空を飛ぶ描>>続きを読む
【再鑑賞】
いかにもありそうな、若者たちの日常生活を比較的淡々と描いています。ある人にとっては、特に気にもならないごく平凡な作品かもしれません。しかし、個人的には強く擁護したい好意的な作品です。私はど>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
概ね、おもしろかったと思うのですが、巧妙に、そして陰湿に家族を心理的に追い詰め、崩壊に導こうとしていたエスターが、唐突に色仕掛でジョンに迫った挙げ句、呆気なくフラレた途端、大味な殺人鬼に変貌してしまう>>続きを読む
何という優しい映画でしょう。
勿論、優しいというのは何も物語の顛末や登場人物たちの性格だけを指して言っているわけではありません。
スクリーン上で戯れる映像と音響とが、柔らかな大気のように目と耳を心地良>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
快楽に目覚めたイッカが、再びコウジと交わるべく彼の自宅を訪れるシーンの直前、彼女が鼻歌を歌いながらバスに揺られるシーンが素晴らしい。
神父とのから回ったやり取りが滑稽な教会のシーンと生々しい二人の絡>>続きを読む
【再鑑賞】
ロマンス、サスペンス、アクション、ユーモア、スペクタクル、そして歌と踊りに、極めつけは豚!
映画で享受し得るあらゆる醍醐味が、1時間半という尺の中にふんだんに詰め込まれています。
何度>>続きを読む
監督が在籍していた大阪芸大で教鞭を取っていた中島貞夫の作品からタイトルの一部を拝借していたり、本編の随所にパロディやオマージュが見られることからも、監督自身、映画が好きで、その感情を素直に表現すると、>>続きを読む