破壊される肉体。
クローネンバーグの「らしさ」全開で安心すらするのですが、「安心」という言葉がこの変態映画作家にとって、必ずしもポジティブな意味を持つものではないのは言うまでもありません。
嵐で公共施設の時計が壊れるという件は、やはりあのタイムスリップ映画の傑作へのオマージュでしょうか。
【再鑑賞】
さすがの溝口健二です。
見慣れた物語を抑制の効いた落ち着いた画面を構築することで、新鮮な感動をもたらしてくれる美しいフィルムに仕立て上げています。
中でも、厨子王が脱走した後、安寿が池に>>続きを読む
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【再鑑賞】
はっきり言って、大好きな映画です。画面のトーンも流れる時間も登場人物たちの言動も共感しかなく、鑑賞中、終始自分自身を見ているような気分になりました。
どこか山下監督と共同脚本を担当した向>>続きを読む
残念ながら、私としては原作との再現度を確認する作業に終始するばかりで、未知の衝撃に遭遇するという意味での感動的な映画体験は遂に得られず終いでした。
漫画史に残る名シーンである山王戦のクライマックスは>>続きを読む
ジャームッシュの『ナイト・オン・ザ・プラネット』にオマージュが捧げられているという時点で、少しばかりの欠点など大目に見てあげたくなるというものです。
夜の東京の街を緩やかに疾走する一台のタクシー。ハ>>続きを読む
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とある作家の遺灰を故郷シチリアまで運ぶ道中で見舞われる幾つかの些細なトラブルが、美しいモノクロームの画面と控えめなユーモアを交えながら描かれます。
やっとの思いでシチリアに辿り着いた作家の遺灰が、海に>>続きを読む
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息絶えたサリーを抱きかかえたジャックの背後に夥しい数の花火を配置してみせるクライマックスの件は、そのセンチメンタルなBGMと共に、少々大仰でクサい演出に見えがちですが、この堂々とした嘘への居直りこそが>>続きを読む
悪人が一切登場しない映画。ミー坊をクビにする水族館の先輩飼育員や成金趣味な歯医者ですら、何処かしら人情味のある人物として描かれます。
平和で優しい画面に身も心もすっかり委ねながら、のんのひたむきな眼>>続きを読む
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【再鑑賞】
何よりも先ず、二人の美しい女優、ジュリエット・ビノシュとジュリー・デルピーに瞳を奪われます。映画の中の登場人物に恋をするという体験をした、最初の作品の一つかもしれません。
森の中で裸の体>>続きを読む
【再鑑賞】
叙情とユーモア、そして活劇と、映画の魅力を全て詰め込んだかのような時代劇の傑作です。
とりわけ、本作が本格映画デビューとなる若干15歳の原節子の無垢な美貌が際立ちます。
弟・広太郎の不>>続きを読む
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白状すると、シリーズの熱心なファンではありませんし、今までの作品もテレビの放送でしか観たことがありません。
それでも、我が青春の80年代から今日までのハリウッドを彩った人気シリーズの最終作ということ>>続きを読む
何だか妙に古典的な作りの映画だなぁと思いながら観ていると、思いのほかあっさりと終わり、ちょっと拍子抜けしたというのが正直な感想です。
比較的こじんまりとまとまって、大きな破綻もありませんが、監督デビ>>続きを読む
ドイツから逃れたユダヤ人物理学者と赤狩りを扇動した政治家。ハリウッドのスター女優とその夫であるメジャーリーガー。20世紀のアメリカを賑わせた4人。そんな曰く付きの彼らを無造作にホテルの一室に放り込んだ>>続きを読む
ヒロシから頑なに拒絶されていたエミコが、次のシーンでは仲睦まじくベッドで肌を重ね合わせているといった唐突さに些か戸惑いましたが、執拗に「帰れ」という台詞をエミコに投げかけるヒロシとそれに抗うエミコとの>>続きを読む
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調度品や家具が整然と並ぶ室内シーンのその静謐な美しさに溜息すらこぼれます。
俳優たちの声や動きは実に慎ましやかで、空間を豊かに満たしていきます。それらを律儀に切り取っていくワンシーンワンショットのカ>>続きを読む
2時間もある作品にしては、少々内容が薄いように思います。
日本人の兄弟+その息子と韓国人の3兄妹が旅を共にするという状況に、最後まで乗ることが出来ませんでした。
ソウルを舞台にツヨシとソルのラブストー>>続きを読む
本作のホアキン・フェニックスは『パリ、テキサス』のハリー・D・スタントン、『ユリイカ』の役所広司、『SOMEWHERE』のスティーヴン・ドーフなどのように、多感な子どもの傍らに寄り添う、不器用な中年男>>続きを読む
ベルリンの街を少年たちが元気に駆け回る様は、何処かヌーヴェルヴァーグの作品群を思わせる躍動感があります。
少年たちが大軍勢となって、泥棒を追い詰めるクライマックスのシーンは痛快。思わず声を出して笑って>>続きを読む
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【再鑑賞】
才能ある若手や経験を積んできた中堅、円熟期を迎えたベテランが意欲的な作品を次々と発表し、かつての30年代や50年代の黄金期ほどではないにせよ、90年代の日本映画には活気があったように思いま>>続きを読む
『俺たちに明日はない』の脚本家コンビらしいアメリカン・ニューシネマ的な風味を持った西部劇。新しい時代の若者たちによる脚本を、マンキーウィッツ、カーク・ダグラス、ヘンリー・フォンダら百戦錬磨のベテランが>>続きを読む
実在した歴史上の人物が虚構の世界で生々しく蠢く不気味なファンタジー。
色褪せた廃墟のような空間を彷徨う20世紀が生んだ権力者たち。
画面はいつものソクーロフの映画がそうであるように、深い霧が立ち込>>続きを読む
奇妙な魅力を持った、なかなか興味深い映画でした。
暴力描写は堂に入ってるし、非凡なユーモアの素質も覗かせます。かと思えば、重々しいシリアスな場面の演出力も高い。
ALSを患い満足に身体を動かすこと>>続きを読む