クロスケさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

エスター(2009年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

概ね、おもしろかったと思うのですが、巧妙に、そして陰湿に家族を心理的に追い詰め、崩壊に導こうとしていたエスターが、唐突に色仕掛でジョンに迫った挙げ句、呆気なくフラレた途端、大味な殺人鬼に変貌してしまう>>続きを読む

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

5.0

何という優しい映画でしょう。
勿論、優しいというのは何も物語の顛末や登場人物たちの性格だけを指して言っているわけではありません。
スクリーン上で戯れる映像と音響とが、柔らかな大気のように目と耳を心地良
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愛なのに(2021年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

快楽に目覚めたイッカが、再びコウジと交わるべく彼の自宅を訪れるシーンの直前、彼女が鼻歌を歌いながらバスに揺られるシーンが素晴らしい。

神父とのから回ったやり取りが滑稽な教会のシーンと生々しい二人の絡
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サンライズ(1927年製作の映画)

5.0

【再鑑賞】
ロマンス、サスペンス、アクション、ユーモア、スペクタクル、そして歌と踊りに、極めつけは豚!

映画で享受し得るあらゆる醍醐味が、1時間半という尺の中にふんだんに詰め込まれています。

何度
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温泉しかばね芸者(2017年製作の映画)

2.1

監督が在籍していた大阪芸大で教鞭を取っていた中島貞夫の作品からタイトルの一部を拝借していたり、本編の随所にパロディやオマージュが見られることからも、監督自身、映画が好きで、その感情を素直に表現すると、>>続きを読む

ウエディング(1978年製作の映画)

3.5

眠ったような死に顔や波打ったブロンドの長い髪が『散り行く花』の頃と何ら変わらない、リリアン・ギッシュの姿に感動します。

2001年宇宙の旅(1968年製作の映画)

5.0

【再鑑賞】
『美しく青きドナウ』がまるでこの映画のために作曲されたかのように、真っ暗な空間を漂う宇宙船やその内装を飾る未来的なインテリアとごく自然に調和しています。

ひたすら緩慢で、油断すると居眠り
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愛のまなざしを(2020年製作の映画)

4.1

万田邦敏と珠実のコンビがまたしても、男女のあわいに蠢く魅力的なサスペンスを撮ってくれました。

とにかく、一組の男女を同一のショットに収めるのが抜群に上手い。そのショットの繋ぎも、凝りに凝っている上に
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パンとバスと2度目のハツコイ(2017年製作の映画)

3.9

【再鑑賞】
特に奇を衒ったことをするわけでもない、扱われる題材もテレビドラマとさして大差はない。
ここ数年の今泉力哉の売れっぷりは、おそらくそうした一見、清廉潔白・人畜無害な作風が関係者を安心させるか
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そばかす(2022年製作の映画)

3.1

作品が纏うナチュラルな装いに反するような、しばしば透けて見えるご都合主義的な展開が勿体無いと思いました。

瞳をとじて(2023年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

エリセの映画に携帯電話の電子的な着信音が聞こえてきたり、Macのモニターが置かれたモダンなオフィスが登場することに、何だか妙に感動します。
あのエリセが、紛れもない現在にカメラを向け、それを我々は今目
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.4

いかがわしい見世物としての映画が、画面いっぱいに溢れていて、スクリーンに映し出される物事を眺めているだけで、何とも楽しく愉快な気持ちになれる映画でした。

ロンドンが舞台とは言っているけれど、いつの時
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(1985年製作の映画)

5.0

【再鑑賞】
黒澤明を認識した、初めての映画が本作だったと思います。

何と言っても、まずその画の力強さに圧倒されます。大軍勢が入り乱れる合戦シーンにしろ、黒煙を上げながら燃え盛る城にしろ、実際に生身の
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ゴジラvsコング(2021年製作の映画)

2.5

まあ、こんなアベンジャーズのようなゴジラ映画があってもいいのではないでしょうか。
ただ、今見終えたばかりだというのに、内容は殆ど印象に残っていませんが…。

マイ・ブロークン・マリコ(2022年製作の映画)

3.6

自死を遂げた親友の実家に押し入り、遺骨を強奪すると、包丁を振り回して両親を威嚇しながら、骨壺を抱えてベランダから飛び降り、河に転げ落ちる。
女子学生を追い回す暴漢を骨壺で殴りつけた拍子に、勢い余って崖
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友だちのうちはどこ?(1987年製作の映画)

4.6

【再鑑賞】
極めてシンプルな物語でありながら、本作には到底、言葉では説明しがたいサスペンスが張り詰めています。
ノートを届けたいと訴えるアハマッドと母親のやり取りを、丘に伸びるジグザグの道を駆け登るア
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エアフォース・ワン(1997年製作の映画)

3.0

【再鑑賞】
アメリカの大統領が主要登場人物としてヒロイックに描かれる筋書きは、前年に公開された『インデペンデンス・デイ』にも見られ、当時の世相を反映してるという点では興味深いですね。(どちらもドイツ出
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枯れ葉(2023年製作の映画)

4.2

アンサの電話番号をメモした紙きれが、我々観客に見られていることを承知しているかのように、ホラッパの上着のポケットからはらりと落ち、風に煽られて何処かへいってしまうのを見たとき、思わず「あ〜」と声を上げ>>続きを読む

SOMEWHERE(2010年製作の映画)

4.9

【再鑑賞】
エル・ファニングが愛おしすぎて辛いです。
朝、目を覚まして眼前で彼女が微笑んでいたら、それはもう天使としか思えない気がします。

エル・ファニングの眩い魅力。その刹那的な生の輝きをハリス・
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天使のはらわた 赤い淫画(1981年製作の映画)

3.9

石井隆の主題の一貫性や美意識は、作品毎にメガホンをとる監督が変わっても揺らぎません。もはや映画における「夜」と「雨」は石井隆の専売特許と言ってもよいのではないでしょうか。

夜のジャングルジムのシーン
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モービウス(2022年製作の映画)

2.7

主人公が人体実験を行う船の名前が「ムルナウ」だったことが、まぁ一応そういう気を遣っているんだなぁと思ったくらいです。