クロスケさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

暗雲動く時/暗雲晴れて(1919年製作の映画)

4.5

序盤からいきなり、擬人化された食べ物たちが主人公の胃の中を暴れ回るという、Eテレの子ども番組かと見紛うぶっとんだ演出が展開し、思わず唖然とさせられます。
それも束の間、視覚効果を駆使して『志村けんのだ
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ファースト・カウ(2019年製作の映画)

4.0

映画の冒頭、少年が森の中で寄り添うように横たわる白骨化した二つの遺体を発見する。それが一体誰のものであるのかという謎を残したまま、時間は一気に西部開拓期前夜まで遡って物語が始まる。

白骨遺体の正体が
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孤狼の血 LEVEL2(2021年製作の映画)

3.2

登場した瞬間から悲惨な末路を辿るに違いないと想像させる村上虹郎の、哀愁漂う小物感が良かったです。

ちなみに、播戸竜二氏の馴染みっぷりにはご本人もビックリでしょう。

動くな、死ね、甦れ!(1989年製作の映画)

5.0

【再鑑賞】
初めて観たのは、10年以上も前のことですが、その日のことは今でも覚えています。
場所は今年惜しまれつつ閉館した、京都みなみ会館。夜遅くのレイトショーでした。しかもその日はとてもとても寒く、
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

5.0

ヴェンダースが再び東京の街にカメラを向けているという事実が、スクリーン上に瑞々しく迸っているのを眺めているだけで、こみ上げてくるものを堪らえるのに難儀していたというのに、自転車で並走していた平山とニコ>>続きを読む

ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(2023年製作の映画)

2.2

この映画の世界には独自のルールと常識が存在し、鑑賞者はそれを納得済みであるという前提に基づき物語が進行していく。
あらゆる問題や困難の解決方法は予め用意されており、登場人物たちの行動はその答え合わせを
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ザ・ブルード/怒りのメタファー(1979年製作の映画)

4.4

画面を切り裂く少女の叫び声が悲痛極まりないトラウマ級の傑作。

破壊される肉体が本作でも登場し、そのおぞましい造形に「待ってました!これぞ、クローネンバーグ!」と掛け声をかけたくなりました。

本作製
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バビロン(2021年製作の映画)

3.4

『ラ・ラ・ランド』を観たときにも感じたことですが、この監督は題材となる対象にそれなりの愛情というか、愛着を持っているのはわかるのですが、その表現の仕方が表面的で、思慮が浅い気がします。

今回は特にラ
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機動警察パトレイバー THE MOVIE(1989年製作の映画)

4.9

【再鑑賞】
ロボットアクションと社会派サスペンス、娯楽性と作家性の見事な融合を実現させた傑作です。

当時はまだまだニッチな分野だったコンピューターテクノロジーにまつわる見識を盛り込んだ先見的な物語は
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コラテラル(2004年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

【再鑑賞】
『ナイト・オン・ザ・プラネット』ロサンゼルス編のスピンオフと言っても納得してしまいそうなほど、タクシーの車内でのシーンが丁寧に撮られています。
ひた走るタクシーの緩やかな走行や窓の外を流れ
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MIND GAME マインド・ゲーム(2004年製作の映画)

4.8

【再鑑賞】
目まぐるしく展開する奔放なイマジネーションの応酬に、最初から最後まで目が離せません。
初めて観たときは、アニメーションという制作上、どうしても作為が介入してしまう映像ジャンルにおいて、ここ
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ツィゴイネルワイゼン 4K デジタル完全修復版(1980年製作の映画)

3.9

【再鑑賞】※前回はDVDにて視聴

淫靡なエロティシズムが漂う清順の美学に酔いしれます。

この官能性の一端は原田芳雄の存在が担っていると言えるでしょう。ワイルドな風貌も魅力的ですが、あの低く響く声が
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コマンドー(1985年製作の映画)

3.2

【再鑑賞】
シュワちゃんの映画はユーモアを忘れないとこが素晴らしいですね。
本人にその気はないかもしれませんが、ただ柱の陰に突っ立っているだけで何だか笑えます。
その存在で映画を牽引する、まさにスター
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(2023年製作の映画)

3.3

黒澤明の『乱』と『アウトレイジ』の融合と化学反応を期待していただけに、正直、少しハードルを上げすぎたと反省しています。と同時に、北野武の集大成的なものを感じ、ある意味で納得もしました。

北野監督を慕
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ある惑星の散文(2018年製作の映画)

2.9

学生映画の延長のような作品でした。プロの表現者として、もう少し露骨に野心を曝け出してもいいのではないかと感じました。

Helpless(1996年製作の映画)

5.0

【再鑑賞】
透明なまでの凶暴性が画面の隅々にまで脈打っているという点で傑作と呼ぶに相応しい作品です。

タイトルの「Helpless」とは「孤立無援」という意味ですが、本作の登場人物はまさに「孤立無援
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.0

ゴジラ好きなので、観に行ってきました。

率直に言って、山崎貴という人は、いわゆる平凡な普通のドラマを撮れない映画監督なのだと改めて感じた次第です。そもそも私自身、彼の映画を数本観ていますが、心底おも
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パプリカ(2006年製作の映画)

3.5

【再鑑賞】
無限のイマジネーションが登場人物たちを飲み込んでいく様子が、自由自在で緻密なアニメーションで描かれ「動く絵」の醍醐味を堪能できます。

『パーフェクトブルー』でデビューして以来、今敏は記憶
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山猫リュシュカ(1921年製作の映画)

4.4

あらゆる物や人間が山の斜面を転がり落ちる。あらゆる物や人間が窓から外へ放り投げられる。

この単純な運動の連続が、痛快極まりないです。

リュシュカを演じるポーラ・ネグリのチャーミングな魅力。様々な形
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0課の女 赤い手錠(1974年製作の映画)

3.7

原作者が篠原とおるということもあって、ヒロインのキャラクター造形などは『女囚さそり』から多くを受け継いでいます。
ただ『さそり』の梶芽衣子が非ポルノ女優であったのに対して、本作の杉本美樹はデビューから
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ボス・オブ・イット・オール(2006年製作の映画)

3.8

ラース・フォン・トリアーは映画作りに何かしらの制限を設けることで、ゲーム的な遊び心を作品に導入させたい趣味の持ち主のようです。(ドグマ95に基づいて制作された『イディオッツ』然り、床に白線を引いただけ>>続きを読む

ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語(2023年製作の映画)

3.5

入れ子構造になった物語の構成、からくり仕掛けの画作りが楽しい短編4部作の一編。

ウェス・アンダーソンらしさが溢れているし、短編という手軽さも含めて、入門として初心者の方にオススメできそうです。

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打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?(1993年製作の映画)

4.8

【再鑑賞】
夜空に煌めく花火、青空を反射するプールの水面、燦々と降り注ぐ太陽の日射し、夕暮れの爽やかな風にそよぐ草木などのイメージが、少年たちの淡く切ない物語を瑞々しく彩ります。

ノリミチを始めとす
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マッドゴッド(2021年製作の映画)

2.8

作り手の執念とこだわり、そしてそれに基づいて確立された作品の世界観は評価できると思います。