クロスケ

近松物語のクロスケのレビュー・感想・評価

近松物語(1954年製作の映画)
4.5
【再鑑賞】
湖に浮かぶ一艘の小舟の上で身を寄せ合う男女。鬱蒼とした林で繰り広げられる大立ち回り。日本的な舞台装置と衣装から生まれるしなやかな所作。

そのどれもが、もうこれしかないという的確なショットで切り取られ、無駄のない滑らかさで繋ぎ合わされていく。
そのあまりに洗練された画面に、もはや言葉も出ません。

茂兵衛がおさんの実家である岐阜屋に現れるシーン。破滅的な愛に溺れていく二人を、懸命に説得するおさんの母おこう。抱擁しあう二人と切り返す形で挟み込まれる、おこうを演じた浪花千栄子の戦慄する横顔を捉えたクローズアップが凄まじい。
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