映画が始まると、いきなりどす黒い焼死体が映し出され、思わずギョッとしてしまいました。
深作欣二のカメラによる運動性と千葉真一の肉体による運動性が画面上を目まぐるしく交錯します。
念入りなリハーサルを重ねているであろうカメラワークには、一発本番としか思えぬ即興性が漲っており、登場人物たちの荒ぶるエネルギーを生々しく記録しています。
室田日出男を筆頭に、川谷拓三、志賀勝、小林稔侍らピラニア軍団の面々が出ているだけでも騒々しいというのに、そこに糸を引くような甘ったるい声で喋る松田瑛子に加え、登場した瞬間からその顔面の圧力で周囲を威嚇する松方弘樹も登場し、画面は個性のインフレとでも言うべき、カオスの様相を呈しています。
挙句の果てに、主人公が沖縄から抱えて来た黒豚まで我が物顔で画面を横切るものだから、これにはもう笑うしかありません。
松方弘樹や室田日出男が撃ち殺される瞬間がペキンパー的なスローモーションで描写されますが、彼らはここでも見事な死に様を見せてくれます。
深作映画においてどう死ぬかは、その役者が映画の中でどう存在していたかということと密接に関わっているのだと感じます。
弘田三枝子が吹き替えで歌う『マイ・メモリィ』が良い曲です。