KnightsofOdessaさんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

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無限の広がり(2022年製作の映画)

4.0

[] 80点

2022年ヴェネツィア映画祭コンペ部門選出作品。エマヌエーレ・クリアレーゼ長編五作目。1970年代イタリアはローマ、空き地に面したマンションに暮らす一家は分裂気味だった。主人公のアドリ
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ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(2023年製作の映画)

2.0

[The Soulless Bros. Movie!] 40点

批評家が貶しただのなんだと毎日元気に炎上しているめんどくさい映画(批評家の評価とか欠片も気にならんのだが、騒ぎ立てて振り向いてほしいの
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夜よ、こんにちは(2003年製作の映画)

4.5

[] 90点

大傑作。マルコ・ベロッキオ長編18作目。1978年3月16日、イタリア元首相アルド・モーロは誘拐された。当時のイタリアは極右と極左のテロ組織による衝突が断続的に続く"鉛の時代"という重
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警官ジジのアドベンチャー(2022年製作の映画)

2.0

[やる気のないイタリア版『プティ・カンカン』?]

アレッサンドロ・コモディン長編三作目。前二作がアピチャッポン志向で、前作は特に『トロピカル・マラディ』を恥ずかしげもなく丸パクリした映画だったので、
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パリの記憶(2022年製作の映画)

4.5

["手を握っていてくれて、ありがとう"] 90点

大傑作。アリス・ウィンクール長編四作目。物語自体は監督の兄が生き延びたという、2015年に発生したバタクラン劇場襲撃事件に着想を得ている。夜のビスト
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蟻の王(2022年製作の映画)

2.5

[] 50点

2022年ヴェネツィア映画祭コンペ部門選出作品。ジャンニ・アメリオ長編最新作。1960年代、ホモフォビアの蔓延するイタリアで、教え子の青年エットレと恋に落ち、教唆罪で有罪になった詩人で
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遺灰は語る(2022年製作の映画)

3.0

[兄ヴィットリオ・タヴィアーニに捧ぐ物語] 60点

2022年ベルリン映画祭コンペ部門選出作品。兄ヴィットリオ・タヴィアーニ亡き後に弟パオロの撮った一作。ノーベル文学賞受賞者ルイジ・ピランデッロの遺
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キアラ(2022年製作の映画)

3.0

[私たちは孤独、でも一緒] 60点

2022年ヴェネツィア映画祭コンペ部門選出作品。1211年、貴族の子女だったキアラは修道僧フランチェスコのもとへと逃げ、そこから彼の活動を中心的に手伝うようになる
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ボウリング・フォー・コロンバイン(2002年製作の映画)

3.0

[恐怖と消費の一大キャンペーン] 60点

2002年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品。冒頭から口座を作ったらその場で銃をくれる銀行に銃弾を売ってる床屋巡りと流石のイカれっぷり。90年代アメリカは93年
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The Line(英題)(2022年製作の映画)

3.5

[スイス、トキシックな家族関係について] 70点

2022年ベルリン映画祭コンペ部門選出作品。ウルスラ・メイエ長編五作目。マーガレットは35歳になるが、感情のコントロールが出来ない。一方、彼女の母親
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私、オルガ・ヘプナロヴァー(2016年製作の映画)

4.0

[チェコ、私を拒絶した世界へ] 80点

傑作。トマーシュ・ヴァインレプ&ペトル・カズダ長編一作目。1970年代初頭のプラハにて、オルガは自宅と精神病院を行き来する生活を続けている。家族、特に母親との
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セールス・ガールの考現学/セールス・ガール(2021年製作の映画)

4.5

[] 70+20点

去年の大阪アジアン映画祭で上映された際に、"主演の子、絶対オデッサくんの好みだよ"と言われてエンカウントを心待ちにしていた一作。確かに、どストライクです(どんだけ分かりやすいんだ
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マリとユリ(1977年製作の映画)

4.5

[ハンガリー、互いに手を差し伸べあうシスターフッド] 80点

大傑作。メーサーロシュ・マールタ長編七作目。メーサーロシュ・マールタ特集上映配給のライトフィルム様よりご厚意で試写を観せていただく。役者
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Dáblova past(原題)(1962年製作の映画)

4.0

[白い粉挽き職人と黒い聖職者] 80点

傑作。フランチシェク・ヴラーチル長編二作目。『マルケータ・ラザロヴァー』『ミツバチの谷』へと緩く連なる中世三部作の第一作。三作品に共通しているのはヴラーチルの
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愛情萬歳(1994年製作の映画)

4.0

[] 80点

1994年ヴェネツィア映画祭コンペ部門選出作品、金獅子受賞作。家主のいない高級マンションの一室で不動産屋の女、納骨棚の営業マン、露天商の男が偶然出会う話。それぞれが鉢合わせてビビったり
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Dragon's Return(英題)(1968年製作の映画)

4.0

[スロバキア、愛/憎しみ/孤独からの脱出を願う西部劇] 80点

傑作。スロバキア映画鑑賞会企画。"ドラゴンの帰還"とはなんとも仰々しい英題だが、ファンタジー映画ではなく西部劇であり(私はファンタジー
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ハンガリー連続殺人鬼(2016年製作の映画)

3.0

[] 60点

ショプシッツ・アールパード長編四作目。1957年に靴工場の女工が殺害され、"自白した"一人の男に無期懲役刑が決まったが、7年後に再び類似事件が発生して云々。冤罪で捕まった男とその家族、
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インサイド(2023年製作の映画)

1.5

[] 30点

Vasilis Katsoupis長編二作目。美術品強盗のウィレム・デフォーが強盗に失敗してNYのペントハウスに閉じ込められる話。警報機が作動するが警備会社はやって来ず、なぜかガスも水
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ナイン・マンス(1976年製作の映画)

4.5

祝2000本目!

[ハンガリー、自分らしく生きるための孤独な戦い] 90点

大傑作。メーサーロシュ・マールタ長編六作目、初カラー作品。メーサーロシュ・マールタ特集上映配給のライトフィルム様よりご厚
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静かなる一頁(1993年製作の映画)

3.0

[] 60点

アレクサンドル・ソクーロフ長編七作目。『セカンド・サークル』『ストーン / クリミアの亡霊』から続く三部作の三作目。壁に張り付いた階段が地面まで届かずに途中で終わってる近代的な工業ビル
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Agnus Dei(英題)(1971年製作の映画)

3.0

[ハンガリー、混乱の1919年を垣間見る] 60点

ヤンチョー・ミクローシュ長編十作目。河沿いの人気のない農村で、遠くから機銃の音がしている。時は1919年、第一次世界大戦終戦後の混乱期に、短期間に
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Stuff and Dough(英題)(2001年製作の映画)

4.0

[ルーマニア、生活に潜む犯罪の影] 80点

傑作。2001年に発表されたルーマニア・ニューウェーブの開祖的作品。クリスティ・プイウ初長編作品。1990年代後半に製作された本作品は、所謂"親世代"が監
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破壊の自然史(2022年製作の映画)

4.5

[『空襲と文学』と無差別爆撃について] 90点

大傑作。セルゲイ・ロズニツァ通算30作目。W.G.ゼーバルト『空襲と文学』から着想を得たということで、同じくゼーバルト作品に着想を得た『アウステルリッ
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Leila's Brothers(原題)(2022年製作の映画)

4.0

[イラン、家父長制の呪いとサフディ的犯罪ドラマ] 80点

2022年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品。サイード・ルスタイ長編三作目。レイラは40歳になったが、未だに両親と4人の兄弟の世話をしている。氏
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Likely Consequence(英題)(1992年製作の映画)

4.0

[]

エドワード・ヤンによるワンシチュエーション舞台劇。VHSで録画されたものが『牯嶺街少年殺人事件』のCriterion盤に入っていた。360度の舞台だが、3ヵ所から撮影されていてカットも割られて
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Blue Jean(原題)(2022年製作の映画)

4.0

[拒絶と忘却の歴史と現在] 90点

傑作。ジョージア・オークリー初長編作品。1988年、イギリスでは保守党党首マーガレット・サッチャーによってセクション28、悪名高き同性愛嫌悪の法案が制定された。体
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The Girl and the Oak(英題)(1955年製作の映画)

4.5

[クロアチア、水のない死の大地にて] 90点

大傑作。クロアチアを代表する映画監督クレシミル"クレショ"ゴリクの監督二作目。太陽が照りつける絶望的な傾斜の禿山を、重い水樽を背負って歩む黒ずくめの集団
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Sunday at Six(英題)(1966年製作の映画)

5.0

[ルーマニア、日曜六時に会いましょう] 100点

人生ベスト。ルチアン・ピンティリエによる初長編作品。ニューウェーブを感じさせるような鮮やかかつ不気味な冒頭で、じゃれ合う若者たちを窓越しに眺める女は
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世界の終わりから(2023年製作の映画)

3.5

[この世界に救う価値はあるのか] 70点

紀里谷和明監督最新作。新海誠の実写版観てんのかというくらいのセカイ系物語だが、あまりにも直球に絶望的で号泣してしまった。夢と現実、過去と現在が混ざりあって、
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ノック 終末の訪問者(2023年製作の映画)

3.5

[and Hell followed with him] 70点

シャマラン最新作。山小屋で"世界"と対峙する家族の話。極めて嘘臭い監禁物語が、二つの側面で事実が混ざり合うという、実に『10クローバ
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ザ・ホエール(2022年製作の映画)

2.0

[ある"巨大クジラ"の物語] 40点

2022年ヴェネツィア映画祭コンペ部門選出作品。ダーレン・アロノフスキー長編八作目。メルヴィル『白鯨』に登場する巨大鯨を巨漢になぞらえた映画というとこは題名から
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Libahunt(原題)(1968年製作の映画)

5.0

[エストニア、陽光の煌めきと妖しの森] 100点

人生ベスト。レイダ・ライウス(Leida Laius)監督三作目。アウグスト・キッツベルグの同名戯曲の映画化作品。暗闇の中で月光を反射する水面。墨の
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Smoke Sauna Sisterhood(原題)(2023年製作の映画)

4.0

[サウナで精神を浄化するエストニアの『デカメロン』] 80点

傑作。アナ・ヒンツ(Anna Hints)単独初長編作品。2014年、南エストニアのVõromaa地方のスモークサウナがユネスコ無形文化
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ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り(2023年製作の映画)

4.0

[] 80点

とにかく世界観の作り込みが良い。村からフォージの街までの間に灰色の火山地帯とかあるわけないだろとか、そんなことを全く思わせない。この作り込み具合とそれを煩くない程度に表に出す塩梅の上手
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人生の乞食(1928年製作の映画)

4.5

[] 90点

ルイーズ・ブルックス映画祭。若い浮浪者のジムがある家に押し入ると、玄関に背を向けて座っていた男が実は死んでいて…という開始5秒でフルスロットルな一作。ジムが階段の上に目をやると、そこに
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Szabad lélegzet(原題)(1973年製作の映画)

4.0

[ハンガリー、労働者とブルジョワの越えられない壁] 80点

メーサーロシュ・マールタ長編四作目。初長編『The Girl』から本作品までの四作は、社会と個人の関係性から社会を覗き見る作品群であり、よ
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