Kientopp552さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

Kientopp552

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秒速5センチメートル(2007年製作の映画)

4.0

 2007年作の本作は、SF味を無くした『ほしのこえ』(2002年作)であり、恋の物語りとしての『言の葉の庭』(2013年作)への展開の前提となる作品と位置づけられる。
 
 本作は、オムニバス形式で
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君の名は。(2016年製作の映画)

3.0

 46分の長さの中編アニメ『言の葉の庭』(2013年作)で「大人のアニメ」への展開を予想させた新海アニメ・ワールドは、次の三年後の長編アニメ『君の名は。』で方向を変える。神道主義者になった新海は、それ>>続きを読む

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

4.0

 中編アニメ『言の葉の庭』(2013年作)で大人のアニメへの展開を予想させた新海アニメ・ワールドは、次の、長編アニメ『君の名は。』(2016年作)以降、『天気の子』(2019年作)を経て、本作(202>>続きを読む

言の葉の庭(2013年製作の映画)

4.0

 恋の物語りとしてのセッティングとしては、大人びた高校一年の男子生徒と、同じ高校で古文を担当する、27歳の女性教員という取り合わせは、余りに無理があるのではないか。その違和感を抑え込むために、筆者は、>>続きを読む

天気の子(2019年製作の映画)

3.0

 新海アニメ・ワールドの一つの特徴は、それが写真ではないかと、もう一度目を凝らす、写実的なアニメーション作画の精緻さである。それは、自然の風景や都市景観によく表現されるのであるが、この効果は、雨が降っ>>続きを読む

昼下りの情事(1957年製作の映画)

3.0

 本作は、果たして、「コメディー」なのか、或いは、コメディーであるとして、成功しているであろうか。喜劇は、悲劇を演ずるよりも、格段に難しいことを念頭に入れても、本作には、笑える部分がいくらかはあるには>>続きを読む

戦場のアリア(2005年製作の映画)

3.0

 1871年に成立したドイツ帝国は、次の対仏戦争が起こることを想定していた。なぜなら、1870/71年の普仏戦争でフランスを屈辱的に破ったドイツは、そのフランスから、フランス東部のエルザス・ロレーヌ地>>続きを読む

駆逐艦雪風(1964年製作の映画)

1.0

 当時流行っていた「民衆視点」の歴史観よろしく、本作でも、一等主計兵の目で、駆逐艦雪風の、太平洋戦争中の運命が語られるが、ストーリーは、この「奇跡の強運艦」の「生きざま」を、おとなしく、その起工・進水>>続きを読む

インディアン狩り(1967年製作の映画)

4.0

 白人TrapperのJoeが、強要された「物々交換」の、インディアン側の交換物とは、何と黒人奴隷であった。この黒人は、コマンチ族から「黒い羽根」と呼ばれていたが、口から先に生まれてきたと言えるほど、>>続きを読む

大反撃(1969年製作の映画)

4.0

 アメリカの知識人にはよくヨーロッパ文化への賞賛から、そして、その底の浅いアメリカ文明自体への嫌悪感からか、歴史あるヨーロッパ文化に対するコンプレックス、乃至は、劣等感を持つ者がいる。本作に登場する、>>続きを読む

第三の男(1949年製作の映画)

4.0

 撮影スタッフは、1948年10月にヴィーン入りをする。合計で七週間掛かることになる撮影作業には、三チームの撮影班を平行して使ったと言う。一つの班は、撮影監督のR.Kraskerの下、夜間撮影に徹底し>>続きを読む

乱れる(1964年製作の映画)

3.0

 本作の本題は、松山善三がオリジナル脚本を、1960年代の「コンビ」の成瀬巳喜男監督のために書いた、「悲劇」のメロドラマである。地方都市の酒屋に嫁いできた高峰秀子は、夫が戦死した後は、姑三益愛子にかし>>続きを読む

秋立ちぬ(1960年製作の映画)

3.0

 1951年作の『めし』で、成瀬は、自らの監督としての特長の「方程式」、すなわち、女性を主人公にした現代劇を、原作は女性作家のものとし、その脚本を女性脚本家に書かせて撮るというやり方を確立した。その「>>続きを読む

おかあさん(1952年製作の映画)

3.0

 溝口が亡くなり、女性映画の「巨匠」として成瀬の定評が付く1960年代の、成瀬の脚本家は、主に松山善三となるが、それ以前、成瀬が自分で脚本を書いていない時の脚本家は、長らく東宝専属の脚本家として勤めて>>続きを読む

めし(1951年製作の映画)

4.0

 成瀬巳喜男と言えば、今では、家庭映画の、女性映画の「巨匠」であると言われているが、家庭映画の「巨匠」言えば、小津安二郎がいる。その意味では、成瀬もいた松竹に、二人の「小津」は必要なく、成瀬がPCL、>>続きを読む

銀座化粧(1951年製作の映画)

3.0

 「終戦」は45年であるから、その5年後である。闇市が蔓延っていたのは、束の間であったのであろう。一様は、「戦後復興」が終わったかの感さえある。特需景気を促す朝鮮戦争が同じ50年に勃発する。日本の、西>>続きを読む

デモリションマン(1993年製作の映画)

3.0

 本作では、この映画のストーリーの背景となっている未来社会を描ききるまでの、最初の45分ぐらいまでが意外と興味深い。確かに、『スター・ウォーズ』や『ターミネーター』からのプロットの流用しているような部>>続きを読む

アメイジング・スパイダーマン(2012年製作の映画)

3.0

 前のシリーズでは、確かに、いじめられっ子の高校生のティーン・エイジャーが、蜘蛛に刺されたことにより超能力を持つようになり、次第に自分に対して自信を持っていくようになる、いわば、教養小説のプロセスは、>>続きを読む

誰も知らない(2004年製作の映画)

5.0

 その、さり気無さが観ている者の心を何故か締め付ける。スーツケースをじっくりとさする長男、明の手。一番下の四歳になるゆきの好きなアポロ・チョコレート。或いは、長女の京子が酔っ払った母親にしてもらう紅い>>続きを読む

スターシップ・トゥルーパーズ(1997年製作の映画)

3.0

 オランダ人監督のPaul Verhouvenパウル・ヴェアフヴァンは、あるインターヴューで、原作は詰まらなかったので、最初の二章ぐらいしか読んでない旨、答えている。それ故、本作のストーリーが原作にど>>続きを読む

CURE キュア(1997年製作の映画)

5.0

 これ程までにエンディング・ロールに映画の全編の意味が込められた作品も珍しいのではないか。しかも、それ自体では何気ないものである。作品中のD.リンチ並の、何かボイラーの騒音ででもあるかのような不気味な>>続きを読む

クリスティーン(1983年製作の映画)

4.0

ホラー版『アメリカン・グラフィティー』はいかが?

 本作品のストーリーであるが、これは、車という外形の事物に人間がフェティシズム的に偏愛し、この人間の愛に今度は呪物対象物がそれに応えて自ら動き出すと
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トゥルー・グリット(2010年製作の映画)

3.0

 本作の原題も、原作同様であるが、邦題では、J. Wayne主演の69年作では、『勇気ある追跡』とされているので問題はないとして、本作では、英語の原題をそのままカタカナ化しているのは、問題であろう。T>>続きを読む

キャッチ22(1970年製作の映画)

3.0

 近松門左衛門が言ったというその創作論に所謂「虚実皮膜論」というものがある。即ち、「芸といふものは実と虚との皮膜の間にあるもの也」と。

 別の言葉で言えば、「虚(うそ)にして虚にあらず、実にして実に
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キャロル(2015年製作の映画)

4.0

 丁寧な時代考証(美術監督はJesse Rosenthal)、時代の雰囲気を的確に醸し出す楽曲選択、更に、美しくも切ない映像(撮影はEdward Lachman;映像素材は、スーパー16㎜コダック・フ>>続きを読む

カポーティ(2005年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

 T.カポウティが『冷血』(1965年、公式には66年発表、映画化は67年)という作品で目指そうとした「ノンフィクション・ノベル」とは、実は自己撞着である。「ノベル」とは本来的にはフィクションであり、>>続きを読む

ボーン・アイデンティティー(2002年製作の映画)

4.0

 『マトリックス』のアクション場面は、それは観ていて圧倒感があるにはあるのであるが、何か薄っぺらで、皮のスーツの下に本物の肉体が、痛みを感じながら、格闘しているという印象が余りない。それに対して、この>>続きを読む

僕らのごはんは明日で待ってる(2017年製作の映画)

2.0

 まず、『僕らのごはんは明日で待ってる』と、タイトルで躓いた。どうして時間規定なのに「明日で」なのか。意味不明である。 そして、生きるから「ごはん」は食べなければいけないというメッセージの凡庸さは何だ>>続きを読む

ブラックホーク・ダウン(2001年製作の映画)

3.0

 この映画の製作者は、例の言語道断の駄作、安っぽいCG技術で作られた映像に彩られた、陳腐なメロドラマ・戦争映画『パール・ハーバー』の製作者である。イギリス人監督R.スコットは、あの『パール・ハーバー』>>続きを読む

トワイライト〜初恋〜(2008年製作の映画)

3.0

 スタッフの顔ぶれを見ると、本作では、女性が要所を占めているのが興味深い。まずは、監督がCatherine Hardwicke、脚本がMelissa Rosenberg、同名の原作はもちろん女性作家の>>続きを読む

アパッチ砦(1948年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

 「英雄」伝説について。本作のラスト・シーンの直前にヨーク連隊長がジャーナリストの数人とインタヴューをする場面がある。

 サースデイ中佐の戦死の理由を知っている者は、彼が真の英雄ではないことを知って
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バリー・リンドン(1975年製作の映画)

4.0

 貴族の館やバロック庭園の、名所の絵葉書然としたものをただ羅列するだけでは、映画にはならない。17,18世紀の名画を持ってきて、それを映像化するだけでは、やはり映画作品にはならない。そこには、歴史的場>>続きを読む

ダークナイト(2008年製作の映画)

4.0

 本作において、オーストラリア人俳優Heath Ledgerにより、前作よりほぼ20年後に体現されたジョーカー像は、そのリアル性において他の追随を許すものではない。目の周りは黒に、唇と昔切り裂かれた口>>続きを読む

幕末太陽傳(1957年製作の映画)

5.0

 題名が何故「太陽傳」なのかであるが、それは、日活が本作の前年に製作した『太陽の季節』(古川卓巳監督)や『狂った果実』(中平康監督)が大ヒットし、時代の風俗としての、既成の道徳観念を何とも思わない「太>>続きを読む

ビッグ・アメリカン(1976年製作の映画)

5.0

痛烈な諷刺作品「M★A★S★H マッシュ」(1970年作)を撮った監督の腕がまたもや冴える!

 本作品に登場する、Buffalo BillことWilliam F. Cody (1846-1917),
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ハリソン・フォード 逃亡者(1993年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

リメイクはオリジナルには敵わない!

 このリメイクの本品のストーリーは、モダナイズされている。製薬企業の新薬の販売拡大に片棒を担ぐ同僚によってけしかけられた元警官の殺し屋が、有能で善良な医師Dr.キ
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