Kientopp552さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

Kientopp552

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陸軍中野学校 密命(1967年製作の映画)

3.0

 シリーズ第四作の本作『密約』の「ボンドガール」が、野際陽子である。英国諜報機関に利用される男爵夫人役であるが、ウィーン育ちということもあり、日本人女性離れをしており、野際は市川を誘惑する。本シリーズ>>続きを読む

デスパレート(2011年製作の映画)

3.0

 人物背景も、ある程度、丁寧に描いているし、会社側と労働者側の実力での闘争もしっかりプロットの中に入れ込みながらも、結局は、単純な犯罪映画で終わるのかなと思いながら、映画を観ていると、本作は、終盤、意>>続きを読む

ローマの休日(1953年製作の映画)

5.0

 『ローマの休日』でWylerがなぜ二人の撮影監督を使ったのか、筆者は寡聞にしてその訳を知らないが、PlanerとAlekanの経歴を考えると、基本的にPlanerが野外撮影を、Alekanが室内撮影>>続きを読む

男たちの大和/YAMATO(2005年製作の映画)

1.0

 本作のストーリーは、「眉唾物」で、「下からの目」で見るという「ミクロ的」視点を取ることで、逆に「マクロ」が見えない、単なる「生き残った者」の「罪の意識」が強調される、心情主義的駄作となっている。ラス>>続きを読む

戦艦大和(1953年製作の映画)

3.0

 戦後、連合艦隊司令長官であった豊田大将は回想して言う。「大和を有効に使う方法として計画。成功率は半分もなし。うまくいったら奇跡。しかしまだ働けるものを使わず残しては、[筆者:沖縄の]現地将兵を見殺し>>続きを読む

シェナンドー河(1965年製作の映画)

3.0

 南北戦争時代に自立したウエスト・ヴァージニア州との州境にほぼ沿うシェナンドー河或いは溪谷は、戦術的意義を持っていた。なぜなら、この渓谷を北東に上って行くと、ポトマック川に通じ、その河畔にある、USA>>続きを読む

しあわせのパン(2011年製作の映画)

1.0

 ご当地観光振興映画、はっきり言って嫌いですネ。メルヘンタッチで進む映画です。本当にそうであればいいのですが、ストーリーが信じられなくて、どこか「胡散臭い」。しかも、女性主人公が自分の夫を苗字で「水縞>>続きを読む

昭和残侠伝 死んで貰います(1970年製作の映画)

5.0

 「任侠」とは、自分の命も顧みずに、暴力を以ってしても他者を助けることである。その失われていこうとする「義侠心」への「白鳥の歌」が、東映やくざ映画の金字塔を飾る「昭和残侠伝シリーズ」である。「残侠」と>>続きを読む

修羅の群れ(1984年製作の映画)

2.0

 本作の中盤、日本人ヤクザ・グループと韓国人ヤクザ・グループが抗争になりそうになって、稲原こと松方が言う。日本人も韓国人も同じ人間であると。そうして彼は、博打で自分の家族を貧困に追いやった自分の父が、>>続きを読む

シノーラ(1972年製作の映画)

3.0

 黒澤監督の『七人の侍』を翻案した西部劇『荒野の七人』(1960年作)を撮った監督がJohn Sturges である。そのストーリーの大枠は原案通り、侍ならぬガンマンが農民を助けるという構図で、同じス>>続きを読む

滝を見にいく(2014年製作の映画)

4.0

中年女性を「おばちゃん」と呼ぶのは止めよう!

 本作、音楽センスがいい!エンディングには、わざとだろうが、ポップス系を使っているが、映画内でモーツァルトを使った妙は、時々はっとする自然の美しさと相ま
>>続きを読む

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密(2014年製作の映画)

4.0

The Imitation Game と何故この作品は名付けられたのか

 まず、この点ははっきりさせる必要がある。Alan Turingがドイツ帝国暗号機エニグマ(Enigma)を解読或いは破ったと
>>続きを読む

ダーティー・コップ(2016年製作の映画)

3.0

映画配給の方、すいませんが、もうちょっと気の利いた題名を付けてください!

 こんなどこにでもあるようなセンスの低い題名を付けてもらっては、観る気がしなくなる。それでも、観たのは、あの臭くて派手な演技
>>続きを読む

ツナグ(2012年製作の映画)

2.0

 死とは、人生という列車の「終着駅」である。終着駅に着いたら、人は列車から降りなければならない。乗っていた列車はもうそれ以上は進まないのである。故に、死後の世界などは存在しなのであり、死後とは「無」な>>続きを読む

アンダー・ザ・スキン 種の捕食(2013年製作の映画)

2.0

 こういう「芸術映画」を気取って、内容のない作品ほど嫌なものはない。第70回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門に出品され、上映が終わって、賛否両論に別れたというが、ブーイングもあったということ>>続きを読む

いとみち(2020年製作の映画)

3.0

 本作は、典型的なふるさと振興・観光映画である。振興対象は、青森県、とりわけ、津軽郡、つまり青森県の西半分と青森市である。しかし、面白いことに、エンドロールの「協力」というところで最初に出てくるのは、>>続きを読む

MUD -マッド-(2012年製作の映画)

3.0

 本作の主人公は、14歳の少年Ellisである。彼の視点から見て、ストーリーが展開する。その意味では、本作は児童映画にでも分類できるのであるが、それにしては、両親の離婚問題、恋愛、殺人とテーマが穏やか>>続きを読む

噂の女(1954年製作の映画)

4.0

 この白黒映画の出だしは、気が利いている。町中(まちなか)の、ある道をカメラは俯瞰的に捉える。しかも、その道は、画面の左下から右上に斜めに抜ける構図で撮られてある。カメラの位置は、画面右下、建物の二階>>続きを読む

みをつくし料理帖(2020年製作の映画)

2.0

 料理・クッキングものに、関西風の商人(あきんど)成功物語を組み合わせ、更に時代設定を19世紀初頭の江戸時代に持っていった、関西人原作者の、ストーリー構成の思い付きの妙には脱帽する。しかも、それが、関>>続きを読む

ミラーズ・クロッシング(1990年製作の映画)

3.0

 ユダヤ系のコーエン兄弟の第三作目の本作は、ストーリーの舞台が禁酒法時代、つまり、1920年代から30年代にかけてのことであり、恐らくアメリカ東部の、とある街での、ジェントルマンライクのアイルランド系>>続きを読む

マップ・トゥ・ザ・スターズ(2014年製作の映画)

2.0

 Hollywoodを巡る風刺作品と言えば、古い所では、ドイツ人名監督Billy Wilderの1950年作の『サンセット大通り』が挙げられよう。この作品の主人公で、サイレント映画時代の嘗ての大女優ノ>>続きを読む

卍 まんじ(1964年製作の映画)

5.0

 監督は、イタリアに留学し、そこで映画についての論文までもものにした増村保造である。この理論家肌の監督の意を受けて、その制作意図を、誇張しながらも度を越さずに、確実に形象化した俳優陣にも本作制作上の、>>続きを読む

万引き家族(2018年製作の映画)

5.0

 「血は水よりも濃し」の諺の反対を行くのが本作の擬似家族である。この擬似家族は、心情で結びあっており、その「家族」関係は、本物の家族関係より、濃密であり、ゆえに、人間関係における情愛関係こそが大事なの>>続きを読む

マッドマックス 怒りのデス・ロード(2015年製作の映画)

3.0

良質のアクション映画に北欧神話の次元が加味する第四弾、M.ギブソンが主演でなくてよかった

 文明社会が崩壊したデストピアでは、むき出しの暴力だけがものを言う。Immortan Joeもウォー・ボーイ
>>続きを読む

ラスト、コーション(2007年製作の映画)

2.0

「この世界の果てから最遠の海原まで
私は探す、私を分かってくれる一人の男(ひと)を...」

と、何回か熱い肉体関係を結んで、男の膚の温もりを忘れられなくなっていたヒロインは、1920、30年代
>>続きを読む

ラスト・キャッスル(2001年製作の映画)

3.0

「監獄もの」映画というジャンルがある。刑務所という特殊な空間で展開するストーリーである。そのタイプには、大まかに分類して、二つある。一つは、囚人たちの間に生まれる集団同士の抗争を描くものである。この>>続きを読む

一番美しく(1944年製作の映画)

3.0

 本作の映画美学的点について、二、三述べると、ドキュメンタリー性ということであれば、この映画は、戦中・戦後のイタリアのネオ・レアリズモの美学に通じてはいないかということ、編集を良く使って流れに緊張感が>>続きを読む

コントラ KONTORA(2019年製作の映画)

4.0

 白黒作品は観たくなる筆者は、「逆走」する男が出てくるトレーラーを観て、本作を観てしまった。143分と長丁場で、後半に入って、ストーリー的な中だるみがあるが、最後は見せる映像を作っている本作は、「過去>>続きを読む

ワイルド・アパッチ(1972年製作の映画)

4.0

 「悪役」のアッパチ族のUlzanaは、有名なジェロニモと同時期の実在の人物で、実際に1885年に居留地から逃亡して、いわば、強奪と殺戮の限りを尽くすのであるが、実際にはこの時、騎兵隊に追われながらも>>続きを読む

カツベン!(2019年製作の映画)

4.0

 「弁士」の存在こそが、日本無声映画史の特徴なのであり、それ故に、他の諸外国が、トーキー映画が出て、これにすぐに30年代の初めに乗り移ったのに対して、1938年までも無声映画が日本では撮られた、重大な>>続きを読む

地獄門(1953年製作の映画)

4.0

 本作のストーリーは、はっきり言って、三流とまでは言わないが、二流である。その意味では、本作の音楽を担当している芥川也寸志の父親、龍之介が1918年に書いた短編『袈裟と盛遠』の方が、心理主義的解釈で余>>続きを読む

リヴィッド(2011年製作の映画)

3.0

フランス、北西部にあるブルターニュ地方、その最西端にある県が、フィニステール県である。大西洋に突き出たこの県の、さらに最西端にあるのが、比較的有名な町ブレストであり、ここから湾を挟んで反対側の南側に>>続きを読む

ガンズ&ゴールド(2014年製作の映画)

3.0

 本作の終盤、主人公の男二人が交わす会話で、チンパンジーとボノボの社会行動の相違が話題になり、俺たちはどっちのタイプかの話しになる。蓋し、脚本も共作している監督Julius Averyはこのセリフを役>>続きを読む

ブラス!(1996年製作の映画)

3.0

 極東のある国では今でもこの新自由主義政策が行われているが、サッチャリズムの新自由主義政策がイギリス社会にどんな影響を1990年半ばまでに与えたかを、サッチャリズムに批判的に、破壊された共同体へのノス>>続きを読む

大地震(1974年製作の映画)

2.0

 天変地異映画は、昔は、人間がただ右往左往するのが詰まらなく、本作は、筆者は公開当時は観ていない。当時は"Sensurround センサラウンド"という、地震を低周波の音波で擬似体験できる音響効果が目>>続きを読む

戦慄の絆(1988年製作の映画)

4.0

 本作は、ジェレミー・アイアンズが、スター産婦人科医の一卵性双生児二人を一人二役で演じ、微妙な共生で成り立っていた二人の兄弟が、フランス系カナダ人女優G.Bujold演じるところの女優の登場により、そ>>続きを読む