ジョンの、ジュディスへの手紙がイイ。おれはどっちかというと「取っておく」より「捨てる」方が好きな男だけど、取っとけばカタチになることもあるんだなと再認識。
ただやはり「なぜあそこまでドラッグに溺れたのか」は分からず仕舞い。ジョン自身の言動から、彼が衝動と承認欲求にあふれたナーバスな人間だったということが窺えるだけで、それはある程度彼の業績に関わる文物に触れていれば、ある程度想像できる。
ジョリエット・ジェイクは、ドラッグをやってブッ飛ばないと降りてこないキャラだったのか。あの歌も、あのバク転も、全部ドラッグだったのかそうじゃないのか。死んでしまったからもう確かめようがない。生きていてもきっとはぐらかすだけだろう。ドキュメンタリーは、そんな死の絶望を、遣り切れない思いを、逆に強く刻印してしまう。
SNLでチェビー・チェイスが飛ばすギャグもズッコケも、おれにはちっとも入ってこない。「ここは笑うとこですよ」という記号を押し付けられてガヤと一緒に笑わせられる。多様な移民が集まるアメリカで笑いのツボなんて千差万別なはずで、そこで全員を笑わせるなら派手なズッコケでつかむしかない。ジョンは移民側だったからこそ、そんなメディアの態度に抗いたかったんじゃないだろうか。
街にはヘンなおっさんとか結構いる。そんな人たちに会ったりして個性を盗むこともあったりする。ヘンな人間たちにたくさん出くわして経験積んで、自分の中にキャラが積みあがってくる。ジョンの周りでなく「ジョンの中」にはどんな人間たちがいたんだろう。それを知ってみたかった。
この映画の作り手の誠意も努力も技術もハンパないと思う。でもこの映画は、おれの疑問を埋めるには足らなかった。ジョン・ベルーシがスゴいことなんて、もう判り切ってる。