ををた

ビハインド・ザ・カーブ -地球平面説-のををたのレビュー・感想・評価

3.6
鑑賞中に「もしかして地球は本当に丸くないんじゃ…!?」と信じそうになってしまっていた自分がいたが、それは(私が物理学の知識に乏しいということも含め)このドキュメンタリーに出てくる人々にどことなく人間的魅力を感じたからだろう。

少なくとも今の段階では、彼らは「地球は丸い」と信じる大多数の人々に大きな危害を加えたりしていないし、ただ彼らのコミュニティの中で一つの共通の「話題」として仲間との絆を深めていっているだけだ。彼らはどちらかというと孤独な人たちで、「この説の正しさを主張していこう」という積極的な活動よりは、互いの気持ちや考えを分かち合える仲間がいてくれることに何よりも充実感を抱いているのだろう。
この映画の面白いところはそういう「地球平面説」支持者をただバカにしているのではなく、支持者らがどういう人となりかを見せているところだと思った。

この映画は構成がかなりうまくてどのシーンも面白いんだけど、一番興味深かったのは支持者の女性が他の支持者から「CIAの手先(なぜなら名前のスペルにCIAがあるから)」などという「謂れもない」誹謗中傷を受けるところだ。彼女はそれに対してあくまで彼らが嘘をついているとカメラマンに示そうとするが、その姿勢こそまさに彼らが忌み嫌っていた「科学的」な姿勢ではないか。
だがそれで彼女が地球平面説に対して疑問を持つ訳でもなく、自分の身の潔白と彼女が信じる陰謀論の境目を上手に分けているというのも面白いところだろう。
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