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テイク・ユア・ピル: スマートドラッグの真実のををたのレビュー・感想・評価

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アメリカの様々な地域で、どこかしら能力の劣った(例えば学業に集中できない、怪我によりいいスポーツ成績を残せない)と感じる人々は、自分の能力を補完する為にアデロールというADHD治療薬を服用する。これは一部の人に限った話ではなく、大学や職場、ドラマや映画の中ですら当たり前に行われている日常なのだ。
このドキュメンタリーはその薬の副作用の恐ろしさそのものよりも、何故彼らが服用してしまうのかというところに焦点を当てているのが興味深かった。

この薬の普及率から明らかなように、大多数の人々が自分の能力が劣っていると感じ、自らの人的資本を向上させようと躍起になっている。
しかし、当たり前のことだが、完璧超人な人間などどこにも存在せず、人間であれば集中できなかったり時には体調を崩すこともある。
だが現代社会において、不眠不休で働くことができて、かついい成績を残せる人間こそ「正しい形」であるとされている。そしてこういった社会は「不完全な」人間ではなく、不眠不休で長い間高い集中力を保つことができる人間のみが生き残るようにできてしまっている。
このドキュメンタリーで描かれる模様は、そういった行きすぎた競争社会が生み出した一つの病だといえるだろう。
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