メモ魔

ジョジョ・ラビットのメモ魔のレビュー・感想・評価

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)
3.6
その当時、ナチス政権と戦争の時代。
誰の心にも存在したヒトラーの思想。この思想に形とコメディを与え、主人公の少年がこの思想と対話し乗り越えていく話。
そんな作品。
喜んで鉛玉へ飛び込む国民を前に、逃げる決心ができたのは、当時異端とされたユダヤ人と交友のあった主人公だけだった。当時のドイツ人はヒトラーの思想に染まりきっていたんだな。

戦争を経験していない自分には真の心からこの映画に感情移入することはできない。
きっとこの映画のように、ここまで軍の思想を是としない映像を見せたとしても当時ナチス政権にいた人は主人公ジョジョを批判するんだろう。
今の自分にとって非常識なことは、環境さえ変わってしまえば常識と日常になる。
ヒトラーはドイツ軍が勝利するために必要な常識を国に強制し、常識と非常識を反転させたんだな。
ここまで大胆な事ができたのは、ヒトラー自身に人を先導するカリスマがあったからに違いない。
主人公ジョジョは、物語中何度もこのカリスマ性に人生を導かれている。
ジョジョの中でヒトラーはヒーローであり目標であり親友だった。軍の指揮官でありながら独裁者でありながら、それでいて子供の親友であるヒトラーの多面性に恐ろしさを感じた。

[総評]
今の自分には非常に難しい内容だった。
理解しきれない。ナチスについて勉強が足りなすぎる。逆にこの映画からナチス政権下の人々について学ばせてもらった。
心から戦争に身を捧げたいと思う人間もいれば、格好だけは軍人を装い、虐げられる人間を救う強く優しい人間もいたんだと。いて欲しかったと思わせてくれた。

感情移入って本当に難しい。今の学生が青春時代に思い描く苦労を題材にした映画であれば、スッと感情が映像に引き込まれていくものだが、こういった戦争を題材にした映画は、各シーンの背景にあるであろう登場人物達の感情を読み解けない。読み解けるはずもない。経験してないんだから。
だからこういった映画から少しでも戦争について考えるきっかけを得る事自体が大切だと思うわけだ。
そんなきっかけ作りをする上でこの作品はとても入りやすくしてくれている。ヒトラーにコメディ要素を与えた映画なんてそうないでしょ?

10年後。いや、結婚や子供ができてから、人生の一区切りがついた頃にもう一度。
この映画を見てみたい。何を思い何を感じるのか。今の自分でもわかる。この映画は自分には早すぎたが、監督が視聴者に伝えたいメッセージが溢れている。
3.6点
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