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我は神なりのYNのレビュー・感想・評価

我は神なり(2013年製作の映画)
3.9
全く、韓国映画はすごい!
これをアニメでやってのけるのか。むしろ生身が介在しない分よりヒリヒリと心が荒んで、問いかけが鋭利に刺さってくる。

なにかのDVDに入っていた予告を見て、「お、カルト宗教ものか!面白そう〜」と思ったのだが、カルトの狂気やそれに騙される人の愚かさ、みたいなレベルの話ではなかった。

宗教について語る時に最後に辿り着く根源的な問題、「信じているものが幸せならそれは意味があるのではないか?」の話だ。しかもそれは、問いかけの形で現れて、判断は観客に委ねられる(こう見るべきだろう、というわたしの個人的な解釈はあるが)。

その問いかけを、極限まで不快な形で見せてくるのがこの作品だ。
通常であれば、騙すもの=悪と暴くもの=善の対峙で描くだろうが、そんな単純な話にはもちろんならない。

この程度はネタバレにならないと思うので書くが、この作品の優れたところは、宗教の教えを伝える者、つまり教祖と、宗教をダシにビジネスとして一般人を騙そうとする詐欺師が別にいる点だ。
教祖ー信者間で見ればそこに詐欺をするという悪意はないが、信者たちは確実に搾取されていたりする。うわーこんなの設定うますぎだろ!

これだけですごいのに暴くもの、告発者として設定されたキャラクターがまたすごい。アニメ実写問わず、創作のキャラクターは一面的な性質を付与されがちだが、行為と性格はイコールではないし、状況によって立ち位置も変わる。そこをしっかり描いてリアリティを出している。

といったように、これ客観的に評価すれば4点越え必至の超良作なのだが、あるキャラクターが個人的にあまりにつらくて、大ダメージを負ったため3.9点にしました。
めちゃくちゃオススメです、ネトフリに入ったので是非。
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