『存在のない子供たち』のナディーン・ラバキー監督の長編2作目の作品。
レバノンの小さな村を舞台に平和を守ろうと奮闘する女たちの姿をコミカルに寓話的に、また力強く描いた作品。
1990年代初頭、キリスト教徒とイスラム教徒が道を挟んで共に暮らしていた。女たちが戦争が終わったことを喜び安堵していた一方、男たちは宗教の違いを理由に何かと諍いを起こしてばかり。そこで、愛する家族をこれ以上傷つけまいと、女たちは宗教を超えて団結し、男たちの目を争いから逸らそうと画策するのだったが……。
元来、宗教の教えは同じ筈なのに今も尚、宗教が元の争いが絶えない現実がある。
勿論、そんなに単純な話じゃない事は重々承知してる。歴史もある。けれど…
テレビを壊したり、ストリッパーを呼んだり、血の気の多い男たちをあの手この手で抑え、平和へと導く女性たちの姿が涙ぐましい。そして逞しい。
独特なミュージカル風味を効かせ、ロマンスを匂わせたかと思ったら、シリアスで悲劇的な事件、更には潔いまでの皮肉で締める…
全く親和性のない出来事をひとつの作品として纏めあげる手腕を感じた。まさに女性監督ならではのアプローチで。
美人監督による新感覚の社会派作品だった。