う~ん、、、
正直、ギャスパー・ノエ監督にしては物足りなさを感じる作品だった。
挑発的でも過激でもなく、ましてや衝撃もない。
先入観をゼロにして観るべきだった。
ただ、ノエ流『愛・アムール』とでも言った今作は、まるでドキュメンタリーのように生々しく、そして容赦なく老夫婦に訪れる人生の終焉を突きつけられる作品だった。
2つの分割画面、2つの視点で同時進行で老夫婦の日常を追って行く。やがて訪れる死の恐怖を追体験させられる。
愛し合った夫婦でさえ死ぬ時はひとり、それぞれが孤独な個人である事を否が応でも体感させられる。
まるで垂れ流すかの長回しが忍耐を強いられるしノエしてる。そして重いテーマですら画面分割により尖ったアートにも感じたり。
何れにしても主演二人の名演ぶりに目を奪われずにはいられなかった。
とりわけ80歳にして初主演を果たしたホラー映画の帝王ダリオ・アルジェントの演技とは思えない演技が見所。
彼の作品は有名どころを3作観ただけの私には、そこまでの思い入れが無いのが残念だけれど…
物足りないと感じた筈なのに、レビューしていてどんどん変化して行く。
人間の持つ潜在的な孤独の恐怖を斬新な撮影手法で描いたギャスパー・ノエ監督の新境地!
静かに心を揺さぶられた。