異様で不気味…
めちゃくちゃ怖かった。
都会を離れ田舎に移住した夫婦が、閉鎖的な村で住民との対立を激化させていく姿をスペインで実際に起きた事件を基に描いた心理サスペンス。
夫を中心にした前半、妻を中心にした後半と、2部構成となっている。
都会を知らない田舎に居る人たちと、田舎を知らず現代的思考で移住して来た都会人。相互理解の欠如から来る緊張や争い、暴力は、実はどこにでも存在する普遍的な問題でもある。
正直、前半のあまりの居心地の悪さと不快感、心を掻き乱す不協和音…。と、それらが強烈過ぎて後半は失速感すら感じてしまった。裏を返すと視点をガラッと変える2部構成のひねりが見事でもあるのだけれど。
暴力と非暴力と言った男性と女性の対処の違いは明確で興味深くも感じた。
それにしても、フレーム奥に、フレーム隅に、写り込む兄弟が怖い！怖すぎる！
更には忠誠心のないワンコまで怖くなる。
(久々におバカなワンコを見た気がした。笑)
よそ者を受け付けない住民の陰湿で子供じみたイジメのような態度には呆れる。とてもじゃないけど言い分を受け入れ難い荒み具合には程がある。そもそも、あんな兄弟が居たら私だったら早々に村を出ていく。
ドゥニ・メノーシュの巨漢をもっての繊細な演技が素晴らしい。『ジュリアン』、『苦い涙』、今作とどんな役もピタッとハマる名演ぶりに唸る。
けれど、いつも無駄に？裸体を晒してる印象も。笑
また、コントラストとして見事に演じたマリナ・フォイスの静かな強さが素晴らしい。ラストの表情なんて完璧！
そして『理想郷』…なるほど！なタイトルが巧い！
